2023年2月5日歯周病の治し方を画像を通じてご紹介 〜重度・歯周外科治療について〜
2022年12月15日見た目では分からない虫歯や、見分け方・進行度について写真画像を通じてご紹介します。
2022年11月20日虫歯の治療後で詰め物をした歯が痛い理由とは?
2022年10月10日部分矯正〜奥歯の噛み合わせのずれ・鋏状咬合の治し方〜
2022年9月22日親知らずが腫れて痛い時の対処法・症状や治療ついて
2022年9月1日小児矯正や部分矯正 〜交叉咬合・永久歯が内側に生えてきた場合〜
2022年8月17日親知らずの移植の実際 成功率やリスク・費用など
2022年7月4日セラミックスの詰め物の寿命を延ばすラバーダム治療
2022年6月14日根管治療(根の治療)をした歯の寿命は?
2022年4月21日歯周病の治し方 〜歯磨き粉など自力で治せるか?〜
歯周病の治し方を画像を通じてご紹介 〜重度・歯周外科治療について〜
2023年2月5日
歯周病の治し方の1つに、重度歯周病などには外科治療が保険治療で行われることがあります。具体的に歯周病と言ってもどのような状態か目で見える訳ではありませんので、今回は写真画像を通じて歯周病の状態や、外科治療の実際の状態をご紹介します。
歯周病は、歯を支える周りの組織「歯周組織」が炎症によって病気になっていることを言います。具体的な症状には歯茎が腫れる、出血する、歯を支える骨が溶けるため歯がぐらつくなどがあります。自覚症状がないことでも有名です。
自覚症状があれば気付きますが、自覚症状が出た場合は割と進んでいることが多いです。自覚症状が出る前に対応することが大切であり、それは歯科検診など定期的に健診を受けることで状態を把握していく必要があります。
歯周病の治療方法は細かくすると多岐に及びますが、ざっくりお伝えすると歯と歯茎の境目、いわゆる歯周ポケット内部の汚れを取りのぞくことが大きな目的となります。その手法としても大きく2つあります。1つは麻酔をして耳かきのような細い器具で、歯周ポケットの中を掃除する方法です。もう1つは外科治療ですが、麻酔をして歯茎を開き、内側を完全にキレイにする方法です。一般的には、前者の歯周ポケットの中を細い器具で汚れを掻き出す方法を行い、その後、症状の改善が見込めない場合に後者の歯周外科治療にステップを進めるというのが治療の流れとなります。
歯周外科治療とは、その名の通り、外科的な治療です。細かく分類すると再生療法など多岐に及びますが、ざっくりお話すると歯茎を開いて内部の汚れをとる外科的な方法です。これはあくまでも治療の選択肢であり、実際に外科治療を行うかどうかは患者様の意思決定となります。
実際の症例です。写真は被せ物を入れる前の、土台と呼ばれる状態です。周りの歯茎、歯肉は何も問題なさそうに見えますが、歯周ポケットを測定するポケットプローブという細長い器具を挿入すると、奥深くまで入ることが確認できます。
この歯周ポケットを測定する器具ポケットプローブはメモリとして色分けされており、その色目で深さを測定していきます。この写真の歯は約7㎜という深さでした。通常、歯ブラシで汚れが取れるのは3㎜以内と言われ、4㎜を越えると汚れが取れないと言われています。そのため4㎜以上は歯周病と診断されます。そして6㎜以上で重度歯周炎と診断されるので、この写真の歯は決して状態は良くないことがわかります。
麻酔を行い、歯茎にメスを入れ、切開、剥離します。歯茎をめくると、内部の状態がよくわかります。歯を支える骨が失われており、骨の形状も溶けて失われた分が溝になっていたりします。その状態は歯によって様々ですが、この写真画像でははっきりと失われた骨や溝が目でみて取れるかと思います。
術前に歯周病の状態として歯周ポケットを測定した時の状態の写真と比較すると、器具がどのように挿入されており、そして内部がどのようになっているかのイメージができるかと思います。
あとはこの内部の汚れ、歯の表面にこびりついた歯石などの汚れを書き出します。状態に応じて歯周再生療法を行うことがあります。これは骨再生を促す骨補填剤などの医療薬品を用いる方法です。内部をキレイにしたあとこれらの再生療法の処置を行うことで、条件が良ければ骨の再生が見込めます。
歯周外科治療にも利点や欠点があります。
【利点】
・歯周ポケットが減少するため、汚れが溜まりにくくなり、歯周病の症状が軽減する。
【欠点】
・外科治療であること(イメージで望まれない方がいる)
・多少なり歯茎が退縮するので、知覚過敏や見た目の問題が出てくる
そのため、歯周病としての症状や、歯周ポケット内部の汚れの状態、ご本人が感じる症状の程度や頻度など、総合的に判断して歯周外科治療を選択するかどうかとなります。
歯周外科を行わずに定期的な清掃や洗浄で事足りることもありますので、主治医と要相談して自分自身が望む治療方法を選択すべきではあります。
歯周外科治療を行ったあとは歯茎を切開したところを糸で縫合するため、約1〜2週間後に抜糸します。その後は歯茎の治癒を待ちます。その間は特別なことはなく、今まで通り丁寧にキレイに歯を磨きましょう。もし痛みや腫れが出た場合は、基本的には数日〜1週間で収まることが多く、痛み止めや抗生物質で対応していきます。傷口としての歯茎は抜糸の時には塞がっていますが、見た目わからないようになるまでは数ヶ月かかります。もちろん、術式や元々もの状態によっては回復は早いので、一概には言えませんので、治療を受ける場合は主治医に期間など確認すると良いでしょう。もし再生療法を選択した場合は、骨の再生を確認に約半年を有することが多いです。こちらも状態によって治療期間や歯周外科の2回目を要することもありますので、主治医と治療の方針などを要相談しましょう。
見た目以上に歯周病が進んでいることがあります。そして歯ブラシをどれだけ頑張っても汚れが取れない領域に達してしまいます。自覚症状がないまま進行するのが歯周病であり、実感した時には割と進行していることが多いです。早期発見には定期的な検査が必要になります。定期検診の頻度はその人の状態によって異なります。年齢が上がると、同年代でも健康状態が大きく変わりますので、周りが年1回の定期検診で事足りていても、自分は不十分かもしれません。ただどれだけ健康な人でも、会社で年1回の健康診断があるように、歯の状態も定期的に検査を行うことを推奨します。
津市久居の歯医者「ナカニシ歯科医院」
見た目では分からない虫歯や、見分け方・進行度について写真画像を通じてご紹介します。
2022年12月15日
虫歯は見た目では分からないものや、少し黒いだけでも進行しているものもあり、見た目以上に進行していることがあります。逆に黒くても進行していないこともあります。今回は見た目以上に進行している虫歯をご紹介します。
この写真のどこかに虫歯がありますが、どこにあるかわかりますか?
見た目が黒い、黒い筋や点があれば「もしかすると」と感じますが、何もなさそうなところにも「歯と歯の間」から虫歯になっていることがあります。歯と歯の間では、前歯がまだなんとなく黒い、あるいは茶色の筋が見えますが、奥歯だと真横からは手鏡でも見ることができないので、自分自身では気づかないところになります。正式には歯の隣接する面が虫歯なので「隣接面カリエス(カリエス=虫歯)」と言いますが、見た目では分からないので「隠れ虫歯」とも俗にいうこともあります。
まずは症状があるかどうかがあります。以下の項目に当てはまるものがあれば一度歯医者を受診して検診を受けてもいいかもしれません。
・冷たいもの、温かいものが沁みる
・噛むと痛い
・チョコレートなど、甘いものがしみる
・たまに痛む
ちなみにですが、症状があるということは神経に影響が出ているということなので、割と進行具合は大きいことが多いです。
歯の内部に虫歯が進んでいると、虫歯としての黒さが透けて見えることがあります。ただし自分で見抜くにはかなり難しいです。これは歯医者さんなど第三者が見て気づくことが多く、自分で手鏡で見るには限界があるかと思われます。
はっきり申し上げて、症状がなければ自分ではほぼ分からないと思われます。お口の中を第三者が見て気づくこともあるかもしれませんが、歯医者さんでも見た目だけでは見つけれない虫歯があります。そのため、後述しますがレントゲン撮影が非常に大切になります。
見た目では分からないので、レントゲン撮影となります。
このように、見た目は周りと同じ白い歯をしていますが、レントゲンを撮影すると一目瞭然、他の歯と違い黒く透けて写っています。症状があれば虫歯があるかなと思いますが、症状がないとレントゲン撮影しない限り虫歯を見落としてしまいます。
症状がない場合はまだ良いことがありますが、症状があった場合は神経に影響が出ていることになるので、かなり進行している可能性があります。俗にいう神経をとる治療になるかどうかという段階です。もちろん「症状がある=神経をとる」訳ではありませんが、症状の強さによってはその可能性が出てきます。
症状がない=そこまで進行していない
症状がある=神経に影響が出ている=進行している可能性がある
となります。
もし虫歯が大きく進行し、神経をとる治療になると、治療回数や歯の寿命、費用や術後症状などトラブルが必ずついてきます。ちなみにですが、治療回数は奥歯の場合だと、根の治療が約4回、歯型とり1回、被せ物を装着で1回くらいでしょうか。数ヶ月かかることもあります。神経に達していない虫歯であれば詰め物をするだけなので1−2回で終わることが多いです。
結論、見た目で分からない虫歯はレントゲン撮影しないとわかりません。なので、1年に1度は歯科検診に行くことが望ましいでしょう。仮に症状が出てから歯医者さんに行く場合は、早めの方が良いでしょう。それは、虫歯でしみるのであれば放置するほど進行して神経を犯していくことになり、治療回数も一気にかかる治療にステップアップします。
2022年11月20日
「痛い」あるいは「痛くなかった」虫歯の治療後に、詰め物をした後日、歯が痛いことありませんか?これはよくある現象の1つです。ではどうして痛くなるのかお話して行きます。
虫歯治療とは、虫歯菌によって感染してしまった歯を削り取るというものです。削る時は、ダイヤモンドでコーティングされたものを、分速20,000-40,000回転という速さで削ります。もちろん、削るという振動が【物理的な刺激】として伝わります。さらに摩擦熱が生じるため、水を出しながら冷却しています。この温度変化そのものの【物理的な刺激】が発生します。
治療中は麻酔をしているので痛くはないですが、痛くなくてもこの刺激がなくなるわけではありませんので、神経に刺激が伝わり、一時的な炎症が神経に発生し、治療後の痛みとなります。
極端に冷たいものや温かいものを避けて、その歯にとって安静な状態を維持しましょう。一時的な神経の炎症なので、日にちが経つにつれて落ち着いてきます。ただし、数日のこともあれば1週間単位、結果として1ヶ月くらいかかることもあります。痛みの程度が1週間前と比べて改善傾向にあれば、その改善の割合だけ日数をおけば治るだろうという単純な考えで経過をみて行きましょう。
ただし、ある一定のところまで良くなっても、その後は治らない場合は悩ましいところです。その場合は知覚過敏用の歯磨き粉などを用いて神経を刺激しないような工夫が望ましいでしょう。
神経に近接あるいは接している虫歯治療は、虫歯をとると共に、神経そのものが多少なり傷ついてしまうことがあります。虫歯と神経が隣り合わせの場合、神経だけを触らず虫歯だけを取ることが難しいため、現実的に神経を多少なり傷つくことがあります。その結果、一時的に炎症が神経に生じるため、治療後の痛みが発生します。
これも冷たいものや温かいものを避けて、刺激を与えないようにすることが望ましいです。一時的な神経の炎症であれば、期間が経てば治って行きます。ただし、問題なのは「温かいものがしみる」「ズキズキする」「噛むと痛い」です。特に「噛むと痛い」場合というのは、神経が全体的に炎症している状態であり、ここまでくると回復しないことが多いです。冷たいものが染みるだけであれば一時的な炎症として回復する見込みがあります。一方で、前述した「噛むと痛い」などの症状がある場合は、期間をおいても解決しないことが多く、神経をとる治療(抜髄、根管治療)に移行することになります。
詰め物をするときは、歯にくっつけるために接着剤のようなものをつけます。そこにはさまざまな成分が入っており、歯の表面と詰め物をくっつける役割を果たしています。治療の時に風を吹きかけたり、光を当てたりするのはそれらの成分の効力を発揮させるためとなります。ですが、その成分が十分に効力を発揮しなかった場合など、成分そのものが化学的な刺激として神経に影響を与えることがあります。そうなると化学的な刺激が慢性的に続くため、神経に炎症が生じてしまい、治療後の痛みとして続くことになります。
これも一時的な刺激として経過を見ていくか、あるいは一度詰め物を外し、再度詰め直すということを行います。最終的には、日数が経つにつれて良くなっていくかどうかです。ある一定のところで改善しない場合は、その続いている症状がどの程度なのかによって治療の選択肢が変わります。現状で妥協するのか、詰め直しするのか、知覚過敏の歯磨き粉などで経過を見るのか、一概には断定できませんが、治療を受けた歯医者さんで相談することをおすすめします。
レントゲンで神経に近接している虫歯と断定できますが、現実的なところは治療をしてみないとわからないことがあります。実際に神経にギリギリのこともあれば、神経の炎症を実際に確認できることもあります。ですが、よくも悪くも判断ができない場合もあります。神経をとると様々な理由で歯が弱くなり、治療回数も一気に増えます。そのため、歯医者さんによっては、一度神経を保護する薬をおき、とりあえず埋めて経過を見ることがあります。結果として、痛みが取れなかった場合は後日神経をとる治療に移行することとなります。
もちろん治療後すぐは痛みが出ることがありますので数日は経過をみましょう。あまりに痛みが強い場合は鎮痛薬を服用しましょう。ただし、我慢と言っても個人差があり限界があります。鎮痛薬でもどうしようもない場合は、一度かかりつけの歯医者に相談しましょう。治療している歯医者さんが一番神経と虫歯の状態を理解しています。神経をとるべきなのか、経過をみても良いのか判断してくれるでしょう。
前述の解決策・治療策の通り、歯医者に行って現状把握、相談が一番ですが、現実的にすぐ歯医者に行けることも少ないです。自分自身でできる対応策をご紹介します。
簡易的で間違いない方法です。歯の痛み(歯痛)はロキソニンが成分的に一番良く効きます。他には市販薬としてロキソニンS、イブ、タイレノール、バファリンなどがあります。飲み薬以外にも塗り薬がありますが、まずは第一選択は飲み薬です。
塗り薬の場合は歯周病など歯茎に炎症があるものには効果がありますが、補助的な意味合いで捉えていただくと良いでしょう。
神経が炎症を起こしているので、刺激を与えないことが大切です。温度的な刺激、食事など物理的な刺激をできる限り避けましょう。
血液の循環が良くなると炎症としての強さが増して行きます。できる限り安静にすることが大切です。具体的な例として「飲酒」「過度な運動」「長時間の入浴」は避けましょう。
痛みが強い場合は一度冷やしてみましょう。直接冷やすのではなく、患部を顔の外側から冷やします。理論としては、血管が収縮するので血液循環が遅くなり、結果として炎症の程度が和らぐということです。ただし、冷やすという温度的な刺激でかえって痛くなることもありますので、臨機応変に行いましょう。
虫歯治療によって痛い原因と対応策についてご紹介しました。
虫歯治療によって2−3日ズキズキと痛みが出ることは決して珍しいことではありません。もちろん、痛みが出てほしくはありませんが、術後症状のリスクとしてゼロではないということです。
痛みが数日なら良いですが、それ以降も一向に良くならない場合は、かかりつけの歯医者に相談しましょう。軽減傾向に転じた場合は経過を見るのも良いかと思います。ただ仕事の都合などですぐに歯医者に行けないことがよくあると思いますので、その場合はドラッグストアなどでロキソニンSなどの鎮痛薬を服用しましょう。
津市久居の歯医者「ナカニシ歯科医院」
2022年10月10日
津市久居の歯医者「ナカニシ歯科医院」です。奥歯が傾いていることで、噛み合わせがずれている鋏状咬合を部分矯正で治す方法をご紹介します。
鋏状咬合はシザーズバイトとも言います。奥歯は凸凹しており、通常は上下の歯が噛み合うとこの凸凹が上手く組み合わさります。ですが、歯が上手く噛み合わさずにずれている状態を鋏状咬合と言います。文章での説明ではイメージが難しいので、図を参照にしていただけるとわかりやすいかと思います。
この状態は自覚症状や機能面として問題を感じることはさほどありません。問題となるのは、歯が倒れている分だけ汚れが停滞し、磨きにくいことです。これによって虫歯や歯周病になる確率が上がります。また一方で、噛み合わせから顎の関節に負担が出るというデータも存在します。
もちろん、そのままでも問題ない方もいらっしゃいますが、何かしら不具合が生じている方もいらっしゃいます。
鋏状咬合は部分矯正で治療することができます。状態にもよりますが、治療期間は半年前後、治療費用は医院によりますが10-25万ほどではないでしょうか。使用する装置などで費用も変動するかと思われます。
⑴ 鋏状咬合の治療として、まずはリンガルアーチと呼ばれる装置を作ります。これは左右の奥歯に金属のバンドを巻いて、そのバンドを金属線で繋げたものになります。
手順として、まずは歯と歯の間にゴムを装着します。このゴムの収縮力によって隙間ができ、後日装置が入るための隙間となります。
ゴムを装着して約1週間待ちます。装置作製のための金属バンドのサイズを合わせます。その後は装置作成に入ります。前述しましたが、この金属バンドとワイヤーを繋げたものをリンガルアーチと言います。言葉の通り、リンガル(=舌側)アーチ(=ワイヤーのアーチ)です。
⑵部分矯正装置(リンガルアーチ)を装着します。傾いている歯にフックをかけ、ゴムを装着します。
⑶ゴムを装着して傾きを改善して行きます。通院頻度にもよりますが、ゴムをかける期間は2−4ヶ月でしょうか。状態によって変動します。
⑷噛み合わせが改善されたことを確認できれば終了です。
鋏状咬合を改善する部分矯正も注意点があります。
⑴ 装置が外れることがある
⑵ フックが頬に食い込み、痛みが出ることがあり、随時調整が必要であること
⑶ 鋏状咬合の傾き具合などによっては、一時的に噛み合わせをあげる場合があること
⑷ 装置の違和感がある
上記は当たり前のようなことですが、実際に装置が外れて口内炎として痛みが出たり、発音がしにくいとなると厄介なものです。ある程度は覚悟をしていただく必要があります。
いかがでしたか。鋏状咬合は奥歯が生える段階で傾いて出てくるため、ご本人は自覚症状はありませんし、食事で噛みにくいなど感じることはないかと思います。歯医者さんで検診などで発覚することが多いです。あるいは、歯が傾いていることで汚れが溜まり、虫歯になってから発覚するケースです。
治療する必要性はあるのか?と問われると、答えとしては「その人による」というところです。理論や学術上はトラブルが生じるリスクがあるという結果ですが、必ず生じるわけではありません。人によって虫歯や歯周病リスクも違います。全ては総合的に考えることが大切です。
※写真の症例について※
期間:約半年
装置作製など検査・準備の期間:約1ヶ月
ゴムをかける期間:約3ヶ月
咬合状態確認・装置除去・終了:約2ヶ月
費用:11万円(税込)
利点・欠点:当ブログを参照してください。
2022年9月22日
親知らずが腫れて痛いことありませんか?歯医者に行く前にできる応急処置や、実際の治療法、痛みの原因などについてお話しです。
これが一番現実的な方法です。ドラッグストアで鎮痛薬を購入しましょう。数多くある痛み止めの中でも「ロキソプロフェン」という成分が歯痛に効きやすいです。「ロキソニンS」が代表的なものとなります。
もちろん他の痛み止めも効果はありますが、中でも効きやすいものは成分としては「ロキソニンS」ではないでしょうか。
親知らずが痛む原因はズバリ「炎症」です。虫歯が神経を刺激するような直接的な痛みというよりも、周囲組織そのものにじわりと拡がっていくイメージです。炎症が強いことで腫れてきます。その時は冷たいタオルや氷などで冷やすことが大切です。
これは痛みをなくすというよりも、今以上悪くならないようにという考え方です。結果として痛みが引くかもしれませんが、悪化防止の意味合いが強いです。
親知らずが腫れて痛いのは、元を辿れば細菌が親知らず周囲の歯肉に入り込み、そこから炎症が発生し、痛み腫れにつながっています。少しでも細菌を減らすということでうがい薬で消毒しましょう。有名なところでは「イソジン」になります。一方でマウスウォッシュといった洗口液においては、アルコールが含まれているものは逆に刺激を与えかねないので、避けましょう。もし使用する場合はアルコールが入っていないものを選びましょう。
前述しましたが、きれいにすることで少しでも細菌を減らします。口の中をしっかり磨けていますか?案外、歯と歯の間には汚れが溜まりやすいものなので、今一度磨きましょう。もちろん痛みや腫れがあれば無理しない程度で行いましょう。
親知らずの痛みや腫れは炎症によるもの、つまり免疫力のバランスで免疫力よりも細菌感染が強い場合に生じます。体が疲れている時は免疫力が下がるため、痛みや腫れが増していきます。
無理しない程度でビタミンやエネルギーをとりましょう。単純に睡眠不足であれば寝ることで体力を蓄えましょう。痛くて眠れないこともありますが、できる限りのことをするしかないのです。
親知らずが痛いというのは、親知らずそのものが痛いというよりも、その周囲に細菌が入り込み、周囲の組織で強い炎症を引き起こしているからです。なので、痛みの原因となる細菌に対して抗生物質をを、痛みに対しては鎮痛薬で対応となります。
これは状態によります。親知らずが噛み込んでいる場合や、噛み合う歯と当たって痛い場合は、当たらないように親知らずを削ることになります。もちろん、噛み込んでいない親知らず、変な方向に向いている、埋まっている親知らずは噛み合わせの調整以前に、噛んでいないので削るということは選択肢に入りません。
親知らずの症状と状態によります。少し痛いくらいであれば、麻酔をして痛みが取れれば抜歯します。ですが、痛みが強い場合は麻酔が効きにくいため(理論や機序は省略します)、麻酔が十分に効かなければ抜歯はできません。また、目に見えて腫れている場合は抜歯できません。その時は抗生物質を処方し、まずは腫れを取るところからとなります。後日、腫れが引いているのを確認してから抜歯を計画します。
親知らずは周囲の組織の炎症が強くなるために痛くなります。その周囲の1つに顎の筋肉を含む組織があるため、そこに炎症が拡がると口が開けにくくなります。症状の程度によりますが、指1−2本分しか開けられなくなります。
上記⑴と同様に、飲み込む時の筋肉の周囲に炎症が拡がることで、嚥下痛を発症します。飲み込めないわけではないですが、痛いなと感じながら飲むイメージです。
親知らずが痛い側の、下顎と喉の移行部付近には顎下リンパ節があり、そこに炎症が波及します。そのため、この部位を押さえて痛いことが非常に多いです。一般的にここが腫れて、鏡で見ると顔が膨らんでいるように見えます。
炎症が強くなると、そして疲れているなど免疫力が低下していると発熱します。炎症は免疫力と細菌感染のバランスなので、夜になると、あるいは入浴するなどで一気に体調が悪くなります。痛みが強くてそれどころではないとは思いますが、ゼリーなどで栄養を最低限確保し、水分補給をした上で体を休めることが大切です。
これは前述したように口が開けにくい、飲み込みにくいなどもあるので当たり前かもしれません。親知らずの周囲が腫れて痛いわけなので、そこで物を噛み込むと当然痛いわけです。親知らずが痛い側では食事を避けましょう。
いかがでしたか?親知らずの痛みは最初の方は気がつけば治っているなど軽いことが多いですが、繰り返すうちにかなり痛い、腫れになることがあります。一度でも違和感や痛みを感じたときは、一度歯科医院を受診して、歯の状態を確認することをおすすめします。
小児矯正や部分矯正 〜交叉咬合・永久歯が内側に生えてきた場合〜
2022年9月1日
津市久居の歯医者「ナカニシ歯科医院」です。子供の歯並びで前歯が1本だけ内側に入っていることありませんか?小児矯正治療として改善することができます。
【費用】¥110,000-(税込)
【動的治療期間】約半年
【経過観察期間】生え変わりが終わるまで(一般的には12歳臼歯が生えるまで)
【備考】ご希望や全体的な歯並びによっては本格的な矯正治療まで必要になることがある/歯型を取る必要があるため、嘔吐反射などがあれば治療できないことがある/子供が嫌がると中断となる など
小児矯正の大きな特徴は成長を利用した矯正治療です。大人になってから行う矯正治療は成長が終わっているため、歯を動かすことしかできません。ですが、子供の場合は歯を動かす以外に「成長」を利用して歯の生えてくる方向や位置を誘導することが可能です。もちろん誘導するにも限界がありますが、利用しない手はありません。
出っ歯や受け口など色々ありますが、そのうちの1つに部分的な反対咬合(1本だけ前後関係がずれている)や叢生(そうせい;歯のガタガタ)があります。
見た目の良し悪しもありますが、物が詰まりやすいほか、歯磨きでも綺麗にしにくい、磨きにくいため、小さな汚れが知らず知らず溜まっていきます。その結果、虫歯になる可能性が高くなります。大人になってからは清掃不良から歯周病が進みやすいきっかけとなります。これらはトラブルになってからでは遅いため、トラブルになる前に改善することが望ましいです。
また、部分的に歯が内側に入っていることで、下の前歯は噛み込んだ状態において上の外側と内側の前歯の間に挟まれ、下顎の前後の動きに制限がかかります。本人はこの制限に生まれつき慣れていくので不便しないかもしれませんが、実際に矯正治療で改善すると今までロックがかかっていたということに気が付きます。
顎の動きに制限があると、顎関節症にも影響が出てくることがあります。もちろん全員が絶対に顎関節症になるわけではありませんが、原因となる歯並びは一般的に矯正治療をした方がよいとされています。
子供の歯が出てくる段階で、気づけば上の前歯が1本だけ内側に入ってしまうことがあります。もちろん左右1本ずつ、計2ヶ所の時もあります。通常は上の前歯は下の前歯の外側に並びますので、これは矯正すべき治療対象となります。このような状態を反対咬合、交叉咬合と呼びます。ただし一般的に反対咬合とは完全な受け口を指すことが多いので、厳密には交叉咬合と言われることが多いです。
前歯のほか、全体の歯並びの状態によって治療の全体像が変わってきます。前歯だけの矯正治療で大丈夫とする場合や、前歯のほか奥歯の状態も改善が必要と判断すれば前歯だけでは終わりません。これはどこまで治療するかのご本人及び保護者のご希望にもよります。
この症例ではまず前歯だけを綺麗に並べています。幸いなことに前歯以外の、後方の奥歯は綺麗に並びそうだったので前歯だけの矯正で終了する予定です。結果として部分矯正という形になりました。
治療期間は約6ヶ月ほどとなります。装置を作成するにあたり歯型をとる必要があるため、歯型が気持ち悪くて取れないお子様は治療が難しいかもしれません。開始の年齢は前歯4本が生え揃ったときくらいから計画します。
前歯が生えてきて少し見える段階で反対咬合になるだろうと見込めることがよくありますが、矯正治療は歯がある程度成長してから出ないといけないため、わかっていながらも成長を見届ける必要があります。
今回ご紹介したものは結果として部分矯正で終了したものになります。見た目は同じでも、人によって骨格の大きさや奥歯の状態は異なります。知り合いが部分矯正でできたとしても、自分は全体の矯正が必要と言われた、ということがよくあります。
もし前歯が部分的に内側に入っているなど、矯正治療した方がいいかなと思うことがあれば、一度歯医者さんにご相談に行くことをお勧めします。
津市久居の歯医者「ナカニシ歯科医院」
2022年8月17日
津市久居の歯医者「ナカニシ歯科医院」です。親知らずの移植という処置をご存じでしょうか?治療の選択肢として知らない人が多いかと思われます。移植についてのお話です。
親知らずを抜歯し、それを歯がないところに移す治療をいいます。親知らずは埋まっている人もいれば生えてくる人もいます。変な方向に生えてくる人もおり、そのあり方は人それぞれです。その親知らずの状態が良ければ、スペアの歯として使用することができます。
一般的に奥歯と言われる「大臼歯」ですが、ここはよく噛むところであるため、虫歯やトラブルが多い歯でもあります。そのため、虫歯や歯周病で抜歯になる確率が一番高い部位となります。
もし抜歯になると入れ歯、ブリッジ、インプラントという手法がありますが、親知らずが正常であればスペアの歯として治療できる可能性があります。
成功率は10年後の生存率で90%近くあります。もちろん失敗例もあるため絶対ではありません。移植をする部位の歯茎など、歯周組織の状態が良好であればあるほど成功率が高いです。
実際によくある話ですが、状態が悪く抜歯と宣告された歯を、症状が乏しいから抜かずにそのまま使えるところまで使っていたという患者様がいらっしゃいます。もちろん1つの考え方としてありますが、実際に抜歯となった時、抜いた後の歯茎の状態が非常に悪くなります。具体的には歯茎や骨が周りと比べ痩せ細ってしまい、その後の歯を入れる治療(入れ歯・ブリッジ・インプラント)にとって不利な状態となります。状態が悪い歯を使えるまで使っていく場合は、その考え方のデメリットを十分に理解し、一方で悪化状態を定期的に状態を確認、検診を受けることが大切です。
まずは歯がないところに、移植する歯が入るようにスペースを確保します。抜歯と同時に移植することもあれば、外科で治癒した骨を歯が入る分だけ削ることもあります。
移植できる準備ができたら、親知らずを抜歯し、移植します。移植後は固定が大切なので、縫合で固定するか、前後の歯をワイヤーなどを連結させて固定します。
移植した歯が周囲の歯茎と生着するまで期間を置きます。状態によって期間が変わりますが、早くても数ヶ月待つことが多いです。期間を置いてから、周囲の歯に合うような被せ物を作ります。移植の時は固定が絶対なので、噛み合う歯に揺さぶられないように噛む面を削り、当たらなくします。そのため、被せ物を作り、あらためて噛み合うようにする必要があります。
親知らずの移植のリスクとして、外科処置であるということ、絶対に成功するわけではないということです。外科処置としては術後の痛みや腫脹が生じることがあります。痛みが出ないこともありますが、出たとしても薬を飲めば落ち着く範囲のことが多いです。ただし絶対ではないので場合によっては腫れと痛みが続くかもしれません。
費用は親知らずに限っては保険適応です。親知らず以外の歯を移植する場合は保険適応外となります。
親知らずの移植という選択肢は親知らずがないとできず、移植しても一生持つかどうかはわかりません。もし移植しなければ次の選択肢として入れ歯や、前後の歯を削るブリッジというものになり、他の関係のない歯の寿命を奪うことになります。周りの歯の延命のために移植があるという考え方が良いではないでしょうか。
津市久居の歯医者「ナカニシ歯科医院」
2022年7月4日
津市久居の歯医者「ナカニシ歯科医院」です。セラミックスの詰め物の寿命を延ばすラバーダム治療をご存知でしょうか?治療の実際をご紹介させていただきます。
2016年の世界的な統計では5年経過で92-95%、10年経過で91%と結果が出ています。保険治療のものは5〜10年で虫歯、脱離、破損が出るため、比較するとセラミックスの方が長持ちすると考えます。もちろん91%が大丈夫でも9%はやりかえになっているため、その9%に当たりたくはないかと思います。
セラミックスを始め、歯科治療は人工物です。そのため、お口の状態、環境によって寿命が大きく異なります。歯を全く磨かなければ新しい虫歯になりますし、歯ぎしりが激しいと物理的な破壊力でセラミックスなどの詰め物が壊されます。セラミックスの寿命とはいかにモノを大切にするかと同様に、いかに綺麗にケアしていくかが重要なポイントです。
【価格】¥55,000-税込
(※治療時点での価格です。近年の物価上昇により価格変更する可能性があります)
【治療回数】2回
【利点】審美的・プラークがつきにくいため虫歯、歯周炎になりにくい
【欠点】歯ぎしりなど激しい衝撃によってかけることがある
大きく2つあります。「歯科医師の技術」「患者の口腔ケア」です。歯科医師の技術は正直なところ患者側からは判断が難しいため、残念なことに信じるしかないかもしれません。日頃の治療の中で信頼できるかなと思うかとどうかとなります。ちなみにですが、歯科医師の技術とは「噛み合わせを考えた詰め物」「適切な詰め物の形態・厚みの確保」「ラバーダム治療」などがあります。
ラバーダム治療とは、簡単に言うとゴムシートをかけるだけとなります。ですがこのゴムシートの掛け方やその「ひと手間」が難しく、かつ重要なポイントとなります。例えばですが、水分がついている面に接着剤をつけてもくっつきが悪いと思います。お口の中も同様で、詰め物をつける時に水分があると接着力が低下します。さらに、お口の中は湿度が高いため、その湿度ですら接着力に影響すると言われています。このラバーダムというゴムシートで水分や湿度から守り、接着力の向上をはかります。
ラバーダム治療はセラミックス治療など接着力に関する治療において活用される方法です。1つ1つの工程を丁寧かつ確実にしていくという積み重ねが、寿命に大きな影響を与えます。同じ治療内容でも、このような細かい工程を疎かにしてしまうと寿命に影響が出てきます。歯科治療以外でも何でも言えることですが、地道なステップが10年20年先に大きな結果を及ぼ巣ことになりそうです。
2022年6月14日
津市久居のナカニシ歯科医院です。根管治療(根の治療)を受けた歯の寿命ですが、なんと約11年ということが最新の論文で発表されました。概要だけ先に述べると
・根管治療(根の治療)後に、詰め物や被せ物で処置した歯の寿命は中央値で20.1年
・根管治療(根の治療)後に、詰め物で処置した歯の寿命は中央値で11.2年
・根管治療(根の治療)後に、被せ物で処置した歯の寿命は中央値で11.4年
・根管治療(根の治療)後に、詰め物も被せ物も何もしなかった歯の寿命は中央値で6.5年
となっています。詳しく掘り下げていきます。
根管治療(根の治療)とは、その名前の通り、歯の根の管の治療を指します。具体的にとのような時に行うかというと、①虫歯が神経に達し、神経をとる時 ②すでに神経がとられている根が細菌感染により炎症してきた時(根が膿んでいる時)に行います。双方とも、やることは同じで、根の管の中を綺麗に掃除し、無菌状態を目指します。根の中が空っぽになったら、その空洞部分を埋めていきます。この一連の流れ【根の管を綺麗にする⇨管の中を埋める】が根管治療です。
根管治療の後の処置は、状態にもよりますが、ほとんどの場合で被せ物にすることが望ましいです。根管治療を行う時は、すでに歯の一部分、あるいは大部分が虫歯で失われている状態です。そのため、見た目は自分の歯が残っているといえども、中身は空洞になっており、絶対的な強度が不足します。その結果、噛む力に耐えられずバキっと歯が割れてしまいます。割れてしまったら最悪の場合抜歯になることがあります。
このように、自分の歯が残っているからと言って良かれと思い、被せものをせずそのままにしておくと最悪のケースが待ち受けています。
根管治療の後に関しては、前述の通り被せ物が望ましいケースが大半です。ですが、時に詰め物だけで対応することも無くはありません。それは大部分の歯が残っている場合です。現実的には何らかの理由で虫歯ではないのに便宜的に神経を取るときや、生まれつき歯の形状から経年的に神経が壊死してしまったとき(中心結節というものが当てはまります)などがあります。仮に詰め物のみで対応する場合はラバーダム治療という手法を用いた、強固に歯に接着する詰め物を使用することが必要条件となります。
詰め物だけにするかどうかは、歯の状態や噛み合わせの状態などで総合判断が必要なため、主治医の判断となります。こればかりは治療の選択肢として患者側からは判断ができませんので、主治医を信じるほかありません。
被せ物の場合は日本においては銀歯やプラスチックの歯、保険外でセラミックスなどがあります。見た目を気にする場合は詰め物だけで対応できればそれに越したことはないかもしれませんが、寿命を考えると被せ物が望ましいとなります。今回紹介された論文では被せ物をしたものに比べ、詰め物で対応したものは歯の寿命が短いという統計結果が出ています。このことを十分念頭におく必要があります。
根管治療の後によくあるトラブルとして、根の先が炎症を起こすことがあります。説明においては「根が膿んでいます」という表現されることもありますが、実際には膿んでいないことも多くありますが、分かりやすいようにこのように説明している歯医者さんもあります。
根の治療をしている途中、あるいは治療後に目に見えない細菌が侵入し、根の管を通って根の先へと進み、細菌が根の先から外へ飛び出します。根の外側には骨があり、この骨が細菌感染により炎症を起こし、骨が溶けていきます。この状態が進むと、レントゲンで白く写るはずの骨が溶けて無くなっていくため、根の先がレントゲン上で黒く見えます。
この根の先で起こる骨の炎症が、時に無症状で、時に自発痛、違和感、浮いたような感じがする、噛むと違和感・痛いなど症状が出てきます。このような時は根の再治療が必要になります。
根管治療は日本においてよくある保険治療の1つです。歯を抜くと後々のことがあるため第一選択は歯を残すことになります。根の治療をすればもう大丈夫かと言われると決してそんなことはありません。被せ物や詰め物は人工物なので必ず劣化を起こし、いつの日か再治療になります。その再治療が何年後に起こるのか、何十年後に起こるのかは分かりませんが、少しでも長持ちさせることが大切であり、そのためには保険外治療という選択肢も視野に入れることも大切かもしれません。1つ言えるのは、根管治療にならないように、虫歯を早いうちに食い止めるということが大切です。
2022年5月12日「Journal of Dental Research」という雑誌に掲載されています。ネットでも英語論文で確認できますので、ご興味ある人は調べてみてください。
津市久居の歯医者「ナカニシ歯科医院」
2022年4月21日
津市久居の歯医者「ナカニシ歯科医院」です。
歯周病の治し方として歯磨き粉などで自力で治せるかですが、結論は「初期〜軽度の歯周病」は治癒可能ですが、中等度以上であれば「自力+歯科医院での治療」が必要になります。今回は歯周病と治し方、歯磨き粉などのお話です。
歯周病は、歯の周りの組織である歯肉や骨が病的に溶けていく病気です。生活習慣病であり慢性疾患でもあります。自覚症状がなく、むしろ症状が出た時はかなり進行していることが多いです。
厚生労働省が実施した、2016年「歯科疾患実態調査」では、35−59歳の人の約7割が歯周病という結果が出ています。
原因は歯の周りについた細菌の塊「プラーク」です。ヌルヌルしたもので、有機物や細菌で形成されるため「バイオフィルム」とも呼ばれます。これは一種の膜のため、そこには抗生剤や免疫など化学的な作用が反応しません。
これは歯ブラシで機械的に取り除く必要があります。なので、「歯磨きをしない」「歯磨きをしているが、実際は汚れを取り切れていない」など、要は「磨けていない」と、次々とプラークがたまります。
これを放置すると虫歯菌のほか、歯周病菌が繁殖していきます。こうなると次々の菌が繁殖し、一方でプラークも溜まっていくという負の連鎖が始まります。結果、歯を磨かないと虫歯菌、歯周病菌の温床になっていきます。さらに、放置するほど歯ブラシでも取れなくなってきます。ここまでくると歯科専用のブラシで取り除くことになります。
歯周病を治癒に導く自分でできることは【歯ブラシ・歯間ブラシ・歯磨き粉】の3つが大切です。歯周病が進行する原因として歯周病菌と歯の汚れがあります。歯の汚れは歯ブラシ、歯間ブラシで除去し、歯周病菌は歯磨き粉の成分でカバーしていきます。
基本的に歯の汚れは歯と歯の間に溜まりやすいです。そのため、歯と歯の間に歯石が溜まっていき、骨が溶けていきます。そこで歯間ブラシが大切です。歯間ブラシにはサイズがありますので、歯と歯に隙間がないひとはデンタルフロスか、歯間ブラシのSサイズを、隙間がある人はMサイズを目安にしましょう。メーカーによりサイズ展開が違いますので、自分にあったものを模索する必要があります。
歯磨き粉は、正直なところ値段が高いものがより良い成分が多いです。もし歯周病のみに特化したものを選ぶ場合は「IPMP」という成分が含まれているものを選択しましょう。よく歯周病用の歯磨き粉として「CPC」というものがあります。CPCは表面に作用しますが、IPMPは汚れの内側にも作用していくため、より効果的な成分です。最低限このIPMPが含まれているものを選択し、あとは自分の好みのタイプを選べばいいかと思います。
自分でできることをお話ししてきましたが、最終的に自分で治せるかどうかですが、結論から言うと予防はできますが完全に治すことはできません。歯茎の炎症だけなら治癒できますが、ついてしまった歯石は歯ブラシでは取れないので、これだけは歯科医院で除去してもらうことが大切です。言い換えると、歯石がなくなれば、あとは再び汚れがつかないように自分で予防するということになります。歯石がついてるから歯ブラシは諦めようというのはいけません。確かに歯石がついていると治るものも治りませんが、最低限歯ブラシで取れる汚れがありますのでその最低限の汚れを取る努力は大切です。
毎日の歯ブラシが何よりも大切です。【①毎食後、寝る前に歯を磨く ②歯ブラシを月1回は交換する】この2点をしっかり守る必要があります。お仕事でなかなか歯ブラシができない人も、できる限り時間を作りましょう。本当に磨く時間を作れない人は、せめて寝る前は重点的に磨きましょう。
日頃は会話などで出てくる唾液や飲料水などで歯の汚れが洗い流されることがありますが、寝ている時は唾液も出ないため、歯周病菌が多く繁殖していきます。朝起きると口がネバネバするというのはこれが原因です。
歯ブラシは月1回交換しましょう。毛先が広がると、歯ブラシの汚れの除去率は40%低下すると言われています。つまり、交換しないまま使っている歯ブラシでは、時間をかけて磨いてもほとんど汚れが取れていないことになります。これでは一生懸命磨いているのも悲しい結果になります。
歯科医院は毎日通えません。なので、毎日の歯の掃除は自分で行います。そして、歯ブラシでは取れない汚れ、つまり歯石など歯科医院で取ることになります。一方で、詰め物や被せ物の形がおかしいと、そこに汚れがこびりついてしまいます。その場合は詰め物や被せ物を作り替える必要があります。
歯科医院ですることは主に歯石取りや合っていない詰め物被せ物を作り替え、汚れが溜まりにくい環境づくりとなります。もちろん他にも多くのことをやりますが、ざっくりなイメージとして捉えていただければと思います。
歯周病は状態次第では自分で治すことができますが、現状の把握のためにも歯科医院を受診して確認する必要があります。歯石がついているからといって自力で治すのをあきらめるのではなく、今以上に汚れや歯石がつかないために歯ブラシなどを今以上に頑張るという努力が悪化防止となります。口をきれいにするということは口臭予防や虫歯予防にも繋がりますので、自分の健康のためにも大切です。