後悔・失敗しないセラミックス歯科治療
2024年1月26日
セラミックス被せ物の歯科治療において後悔・失敗したくないと思います。後悔や失敗の多くの1つに、思っていた色や形通りではないことが挙げられます。特に前歯は見た目の印象を大きく左右するので、これら失敗や後悔はしたくありません。もちろん、しっかりと丁寧な治療を受けることができれば、出来上がったセラミックスの被せ物は偽物感がなく、本物の歯と見分けがつかないものとなります。今回は、その前歯に特化したセラミックス治療において、治療を受ける時の患者さん側の注意点や、歯医者側にとってのセラミックス治療への視点のお話です。
セラミックスの治療とは、自分自身の歯に対してセラミックスの被せ物を行うことを言います。その工程としては「①歯型をとる→②被せ物が入る」というのがざっくりとした流れとなります。ただし、前歯など、人目につくところの被せ物の場合はステップが分かれることが多いです。
セラミックスの治療の実際としては【①仮歯を作る→②歯型をとる→③歯の色の確認、調整→④色や形が大丈夫なら装着、大丈夫でなければ再調整→⑤色や形が大丈夫なら装着】というように、最終的に被せ物が入るまで、満足されるまで色合いや形の調整が入ります。歯の形については【仮歯】の段階で合わせることが多いです。そのため【①仮歯を作る→②歯の形を調整する→③歯の形が大丈夫になれば歯型をとる】というステップにもなります。
要は、セラミックスを作成、装着するにあたり「歯の形」「歯の色調」に満足されることが大前提となります。このステップを設ける歯医者さんもあれば、一発勝負で「こんなもんですよ」と調整が入ることなく被せ物が装着され、セラミックス治療が終わる歯医者さんもあります。当然のことながら、後者の歯医者さんの方がトラブル、セカンドオピニオンが発生するケースが多いです。
当歯医者では、前者のステップを踏むので、セラミックス治療となると、なんだかんだで歯型を取ってからセラミックスの被せ物が装着、治療が終了となるまで2ヶ月はかかることが多いです。もちろんその間は仮歯となります。せっかくのセラミックス治療なので、満足できる丁寧な治療を心がけております。言い換えると、この治療期間、最低でも約2ヶ月はかかるということに納得、同意の上でセラミックス治療を行うことになります。
失敗・後悔しないセラミックス歯科治療として、実際の治療をご紹介します。写真画像のように、前歯の詰め物・被せ物の変色、偽物感が気になるので綺麗にしたいという希望がありました。前歯なので、会話や笑顔の時に人目につくため、綺麗にしたいということでした。第一段階として、被せ物を外し、見た目のカバーとして仮歯を作るところから始まります。
詰め物・被せ物を外し、歯の状態を確認するともに仮歯を作成します。この時に歯の状態も確認します。虫歯があれば治療となります。外す以上は、見た目のことがあるので必ず仮歯を作り、その日は終了となります。歯の状態はあらかじめレントゲンで確認、予想します。当歯医者の場合、外して仮歯を作るのに60-90分のお時間をいただくことが多いです。
後日、仮歯を理想の形へと修正していきます。理想の形とは、基本的には左右対称としての隣の本物の歯の形に似せていきます。本物の歯と同じ形にすることで、違和感がなくなります。もちろん、患者さんにとっての理想の形がありますので、そのあたりも総合的に考慮し、仮歯を手直しします。
今回の場合は「歯の先端」「歯の全体的な膨らみ」を手直ししています。特に先端は笑った時に一番見える場所でもあります。先端が平坦でも良い感もしれませんが、本物の歯には多少なり凹凸がありますので、それを再現した方がより本物感が出てきます。この辺りも最終的にはセラミックス治療を希望される患者さんのご希望によって変わってきます。
歯の形が決まれば、歯型とりを行います。ここでは歯の色の写真も一眼カメラで撮影します。当歯医者の場合、歯型とり、写真撮影などでは約60分お時間をいただくことが多いです。
歯型を取れば、それを模型にし、歯科技工士がセラミックスの被せ物を作成してきます。患者さんにはわからないところですが、この歯型をいかに上手に取るかが、歯医者の技術が大きく関わります。
出来上がった模型でセラミックスの被せ物を作成します。あとはこれを実際にお口の中で調整してきます。
セラミックスの色合いと、本物の歯の色合いと調和が取れているか確認します。「色合わせ」のステップです。今回の場合、これでも十分綺麗ではありますが、厳密には本物の歯より色が濃い印象を受けます。これを受け、セラミックスの色合いを少し薄くする必要があるとわかります。
なお【歯型とり→色合わせ→装着あるいは再度色合わせ】という流れですが、基本的に色合わせをせずに装着することはほとんどありません。うまく行くことも稀にありますが、通常は色合わせのステップを挟みます。
前回の状態を受け、セラミックスの被せ物の色合いを変更したものです。写真のように、セラミックスの被せ物と本物の歯との見分けがつかないほどの仕上がりです。正面もですが、横から見ても見分けがつきません。
近年のセラミックスは、白い金属とも言われる「ジルコニア」という材質をベースに作成することが多いです。今回紹介したものは、このジルコニアと呼ばれるものを基盤に、セラミックス(ポーセレン)を築盛するタイプになります。
写真にあるように、表面は歯の色を再現したセラミックス(ポーセレン)が築成されていますが、歯の内側、上側は白色をしています。この白い部分がジルコニアと呼ばれるものです。
昔は、金属の上にセラミックスを載せたものや、セラミックス単体のものがありました。ですが、前者は見た目が綺麗ではなく、後者は強度がないことが欠点でした。このジルコニアと呼ばれるものや、セラミックスなど、材質の向上により、現代のセラミックスの被せ物は綺麗さと強度を兼ね備えたものとなりました。
失敗・後悔しないセラミックス治療として、あらゆる工程で1つずつ丁寧に確認していくことが大切です。冒頭でも申し上げましたが、歯医者さんによってはざっくりとした色調、形態でセラミックス治療が終了するところもあるかもしれません。もちろん保険治療の被せ物よりは綺麗かもしれませんが、その出来栄えに満足いくかどうかは患者さん次第です。
当歯医者では各ステップを少しずつ行なっていくことで満足のいく治療を提供できるように努めております。そのため治療期間は最低でも2-3ヶ月かかることが多いですが、その分満足度も高いセラミックス治療になっているのではないかと思っております。