2024年11月1日根の治療で歯茎が腫れて治らないときの歯根端切除術
2024年10月4日デュアルホワイトニングのビフォーアフター
2024年9月1日前歯がかけた時の治療方法【セラミックス、ダイレクトボンディング】
2024年8月1日インプラントと骨造成(骨再生)
2024年7月8日すきっ歯治療・ラミネートベニアとは
2024年6月27日小児・子供の前歯の部分矯正治療について
2024年3月13日すきっ歯(正中離開)治療〜ダイレクトボンディング審美治療〜
2024年1月26日後悔・失敗しないセラミックス歯科治療
2023年12月12日歯肉移植の経過や費用、痛みについて
2023年11月12日歯科インプラント骨再生骨造成・サイナスリフトについて
2024年11月1日
根の治療で歯茎が腫れて治らないときありませんか?一般的には根の管を通じて治していく根管治療というもので治療をしていきますが、治らない時があります。その時は外科的な方法、歯根端切除術という方法で対応することになります。
まず、通常は根管治療という従来の方法で治療を継続します。数ヶ月、長くて半年経過しても治らない場合は外科的な方法、歯根端切除を検討します。もちろん、あくまで治療の選択肢なので、そこまでしたくないという方もいるかと思います。医学でもそうですが、治療の選択肢を決めるのは患者様となります。提案した上で、希望されるかどうかとなります。
根の治療、根管治療は言い換えると内科的治療です。管を通じて、根の先の炎症を治していくものです。内科的な方法で治癒が見込めない場合に外科的な方法、歯根端切除術となります。
そのままですが、歯茎を切開すると、歯茎が腫れているところの出来モノや根の先の状態が目視できるので、そこを綺麗にするだけとなります。悪いところを取り除くという、非常にシンプルな発想です。
処置後は歯肉を縫合し、1週間程度で抜糸を行います。その後は経過を見ていくのみとなります。
歯根端切除の実際です。写真のように、歯茎がぷくっと腫れていて、治っていない状態が確認できます。
麻酔をした上で、歯茎を切開し、内側を目視します。根の先に出来モノを確認しました。あとはこれを綺麗に取り除くだけです。
縫合し、約1週間程度で抜糸します。
このように、外科的な治療で最終的には治癒に至ります。
歯根端切除術は外科的な治療方法ですが、基本的にはこれをすれば大抵のものは治ります。
次も似たような状態ですが、写真のように根の治療でも、歯茎が腫れて治っていない状態です。
歯茎を捲ると、根の先と悪い部分が確認できます。これを綺麗に取り除きます。
1週間後の写真です。腫れていた歯肉が治っているのがわかります。
根の治療をしても歯茎が腫れて治らなかった場合の次の一手として「歯根端切除」という外科的な治療方法があります。
これは保険適応の治療方法なので、保険治療をしている歯科医院で治療を受けることができます。
もちろん、すべてのケースで歯根端切除術で治る訳ではありません。歯が割れていた場合はそもそも抜歯となりますし、範囲が大きすぎると不適応となります。
根の治療で歯茎が腫れて、治らない場合、それですぐ抜歯という訳ではありません。
お悩みの方は、一度歯科医院に相談してはいかがでしょうか。
2024年10月4日
ホワイトニングって、どれくらい白くなるのか気になりませんか?今回はホワイトニングの実際の写真を通じてビフォーアフターBeforeAfterをご紹介します。
ホワイトニングの種類には自宅て行うホームホワイトニングと、歯科医院で行うオフィスホワイトニングがあります。
自宅で行うホームホワイトニングは、1日2時間を2週間行います。これを1セットとし、合計で2−3セット行います。
歯科医院で行うオフィスホワイトニングは、1回2時間程度を2ー3回行います。
なお、デュアルホワイトニングと呼ばれるものがあります。これは、ホームホワイトニングとオフィスホワイトニングを交互に行う方法です。この方法が一番白くなりやすいと言われています。
結論からの写真ですが、ビフォーアフターBefore Afterです。どの程度白くしたいかにもよりますが、白くなったのが見て取れます。今回はデュアルホワイトニングと呼ばれる方法と取っています。これは、先述したように、ホームホワイトニングとオフィスホワイトニングを交互に行うものです。
当歯医者ではホームホワイトニング⇨デュアルホワイトニング⇨ホームホワイトニングを1セットとしています。
今回のホワイトニングの場合、当歯医者では以下のようになります。
【費用】¥77,000-
【期間】約1−2ヶ月
【来院回数】4回
(詳細)①カウセリング・歯型とり ②ホームホワイトニングのトレーお渡し
③オフィスホワイトニング ④ホワイトニングの終了確認
【注意事項】
・白くなる程度は個人差があります。
・費用は当時の価格であり、今後は価格変動している可能性があります。
・後戻りとして、着色の強いものを飲食することで再び色がついてしまうことがあります。
ホワイトニングは求められる白さによっては回数を重ねる必要があります。一方で、白くなったなと実感できるためには、1回だけでは難しいです。そのため、あらかじめ複数回かかるものとして検討していただくことが大切です。
ホワイトニングは歯が白くなりますが、もともと歯の模様は無くなりません。写真では、ホワイトスポットと呼ばれる、歯の表面に白濁した状態があります。これは生まれつき、あるいは幼少期の虫歯になりかけたことなどから生じる模様です。
これについてはホワイトニングを行っても消えることはありません。周りの歯が白くなることで目立ちにくくなるとも言えますが、相当白くしないといけないので、現実的にカムフラージュするのが難しいと言えるでしょう。
写真紹介のところでも先述しましたが、やはり個人差があるということです。
ホワイトニングは1回の効果で大きく白くなることもありますが、その程度は個人差です。さらに、ホワイトニング後についても、その人の食習慣、コーヒー紅茶をよく飲むなどの場合は着色が再び出てきます。ホワイトニングをしても、その後のケア、リスク管理がホワイトニングの白さ維持に繋がります。
コーヒーをよく飲む方は、飲んだ後すぐに水で濯ぐことを徹底していただきます。というのは、飲んだ後も粘膜にはコーヒーの黒い液が停滞するため、思っているより歯の着色を進めてしまいます。コーヒー禁止ではありませんが、その後の水で濯ぐということが非常に大切です。
ホワイトニングをすると歯が白いので自然と笑顔が増えると言われています。さらには、簡単なアンチエイジングとしても取り上げられています。費用はかかりますが、歯を白くするだけでアンチエイジングできるのは、ある意味医療美容の一種かもしれません。
ただし、一方でホワイトニングをした方がいいのか、あるいはする前に虫歯や歯周病の治療が必要なのか、その点も大切です。そのため、ホワイトニングが気になる場合は、まずは歯科医院に行って、お口の中に問題がないか、虫歯や歯石がないかなどの検診を行うところから始めましょう。
なお、今回のご紹介した写真のホワイトニングはあくまで1例であり、必ず自分自身も同じようになるとは限りません。ご承知ください。
前歯がかけた時の治療方法【セラミックス、ダイレクトボンディング】
2024年9月1日
前歯をぶつけることで、歯の先端がかける、破折することがあります。その破折の仕方によってダイレクトボンディングという詰め物治療、セラミックスの被せ物で綺麗にするなど、治療の選択肢があります。今回は歯の破折と治療方法、選択肢についてのお話です。
前歯がかけた時の治療方法は簡単に分けると【①詰め物 ②被せ物】の2つに分けられます。
治療の選択についての決め手は【歯がかけている範囲】で決まります。あとは「噛み合わせ」も影響してきますが、わかりやすくいうと範囲となります。
実際にどのような範囲なら詰め物、被せ物になるかの実際をいくつかご紹介です。
前歯がかけた時の治療方法で、小さい範囲の場合です。この時は「詰め物」を選択することが多いです。
治療に関しては保険治療「プラスチック」と保険外「ダイレクトボンディング」とあります。
保険治療のプラスチックは、通常の虫歯治療と同じものです。利点は保険が効くので安価なこと、簡易的なことですが、欠点は見た目の審美性にかける、変色着色しやすいことです。もちろん、保険治療が悪いわけではありませんが、前歯は見た目を気にするところでもあるので、審美性を追求すると満足度には限界があります。保険治療のプラスチックでも見た目が十分満足することもあります。保険治療の詰め物は詰め物の色が単色で決まっているため、治療を受ける歯と同じ色合いなら満足されますが、違っていると目立ってしまいます。
一方の保険外治療のダイレクトボンディングは、耐久性があるので変色着色がしにくく、かつ審美性が高い治療です。治療する歯の色合いに合わせて詰めていきます。
【ダイレクトボンディング】
費用:¥55,000-
治療回数:1回
利点:審美性が良い・着色や変色などの劣化がしにくい
欠点:保険外治療 過度の衝撃でかけることがある
前歯がかけた時の治療方法で小さい範囲であれば詰め物が適応とお話しました。ダイレクトボンディングという治療方法はやはり見た目を重視される方にお勧めです。見た目がそこまで気にならない場合は保険治療でのプラスチックでも良いかと考えます。
全てにおいてですが、詰め物で綺麗になったとはいえども、再度ぶつけれればかけます。また前歯を使ってものを噛みちぎる、硬いものを噛むなどによっては詰め物がかけてしまうことがあります。
治療を受けると綺麗になり、元々かけていることを忘れてしまいますが、実際は詰め物のため、ある程度は常識の範囲で注意が必要になります。
【ダイレクトボンディング】
費用:¥55,000-
治療回数:1回
利点:審美性が良い・着色や変色などの劣化がしにくい
欠点:保険外治療 過度の衝撃でかけることがある
前歯がかけた時の範囲が大きい場合は詰め物では対応できないことがあります。それはやはり強度の問題です。ざっくりなところでは、歯の半分がかけていると厳しいかもしれません。
保険治療ではプラスチックの被せ物があります。保険外では被せ物「セラミックス」・ネイルのような「ラミネートベニア」という方法があります。
セラミックスの被せ物はよく聞くところかもしれません。一方で、ラミネートベニアというものは、残っている歯を最大限に生かし、かつ、最小限の歯の切削で治療ができる物です。イメージはネイルのように、歯の表面に薄いセラミックスを貼り付ける方法です。スーパーエナメルとも呼ばれることがあります。
【ラミネートベニア】
費用:¥132,000- × 2箇所 = ¥264,000-
治療回数:2回
利点:審美性が良い・着色や変色などの劣化がない
欠点:保険外治療 過度の衝撃でかけることがある
前歯がかけると治療となりますが、そこで見た目を気にするかどうかもポイントとなります。
今回紹介したのはざっくり「前歯がかけた範囲」で説明をしていきました。ただし、歯の状態や噛み合わせなど総合的に考えての選択肢になるので、「半分かけた=被せ物」とすぐなるわけではありません。歯がかけた状態は似ていても実際は人と自分は違うので、あくまでも参考になればと思います。最終的には歯科医院に相談していただき、治療の選択を検討していただくことが良いと思います。
よく子供が喧嘩やスポーツ、転倒などでかけることが多いです。仕方がないところかもしれませんが、くれぐれも注意してください。
2024年8月1日
インプラント治療と骨造成(骨再生療法)についてご紹介です。
インプラント治療は、歯がなくなったところに人工歯根としてのインプラントを埋入し、その後被せ物を装着する治療です。入れ歯やブリッジは周りの歯を支えにしますが、これは人工歯根を支えにすることで自分の歯のように噛むことができるものです。
保険適応外の治療なので、高額にはなりますが、その分得られるメリット、食事生活の質の向上や栄養バランスの向上、健康への促進など、恩恵は大きいものとなります。
一方で、インプラントは人工歯根ともいい、他の歯と同様に歯周病になることがあります。しっかりとケアすることが大切です。インプラントも歯周病になることがあり、最悪の場合、歯周病で歯が抜けるように、インプラントも抜けることがあります。
インプラント治療を受ける場合は歯周病が大丈夫かどうかの判断、あるいは治療が必要不可欠です。
インプラント治療が実際どのように治療が進むかの説明となります。
ここでは、シュミレーションから、インプラント手術、歯型、被せ物が入るまでの流れとなります。
インプラントのシュミレーションについてです。写真のように、奥歯がない状態のところにインプラント治療を予定します。従来では入れ歯になりますが、入れ歯も違和感や当たりができて痛い、十分に噛めないなどのデメリットがありますので、それらを解決する方法にインプラント治療があります。
インプラントのシュミレーションを行う場合、現在は2つのやり方があります。
①歯型をとり、模型上でシュミレーションを行う
②デジタル応用として、歯の状態をスキャンし、コンピューター上でシュミレーションを行う。
今回は従来の方法として、歯型をとり、模型上でシュミレーションを行いました。写真のように、歯がないところにワックスで歯の形、噛み合わせをシュミレーションします(青い歯が該当部分です)。今回は写真のように1箇所にインプラント治療を行うことになりました。
このように、歯が入るイメージを模型として目で見ることができるのは、治療を受けるにあたり、具体的なイメージにつながるのでわかりやすいかもしれません。
局所麻酔にて、インプラントを埋入します。インプラントは顎骨の中にチタン製の人工歯根を埋めることで、それを基礎に被せ物を入れる治療です。この人工歯根のインプラントはネジ状になっており、そこに骨が再生され、顎骨とインプラントが一体化するという理論です。
ただし、骨の分厚さ、太さなどは人によります。歯周病が進んでいる人は顎骨がその分なくなっているので骨が不足していることがあります。もちろん歯周病でなくても個性として骨が細い人もいます。
今回の場合、骨が細い部分があるため、インプラントのネジ部分が露出しています。本来はこのネジ部分は骨の中にあるべき部分です。この部分は骨の中に位置してほしい部分なので、この部分に骨再生療法、骨増生(GBR治療と言います)を施します。
人工骨とコラーゲン膜を用いて、骨再生治療を施します。これらによって、この出来上がったスペースに骨の細胞が骨を新生していきます。
その後、縫合し、約2週間後に糸を抜きます。その後はしばらく治癒に期間を置きます。ケースバイケースですが、待機期間は数ヶ月、場合によっては半年の場合もあります。
一定の期間を置いたのち、歯型をとります。従来であれば粘土のようなねちょっとした、昔から使われている歯型取りですが、近年はバーコードリーダーのように口の中をスキャンすることで歯型取りを行うようになりました。
写真のように、インプラントのネジ穴を確認できます。ここに、スキャンするようのパーツを装着します。
スキャンしたデータ画像です。昔なら、歯型をとり、石膏模型として口の状態を確認していきますが、近年はスキャンしたデータをパソコンで確認し、それを元に被せ物を作るという流れです。実際の口の中の状態とスキャンしたデータ画像の比べても、しっかりと読み取れていることがわかります。
先ほどのスキャンしたデータをもとに、被せ物を作成します。3Dプリンターを使うことで、模型を作成することも可能です。
被せ物にネジ穴が確認できます。このネジ穴を通じて、被せ物を装着していきます。イメージとしては、ドライバーでネジを締めるように、被せ物を装着、止めていきます。
実際に、口の中へと装着します。ネジ穴として空いていた穴は、プラスチックで封鎖します。言い換えると、この封鎖したプラスチックを削り取れば、インプラントの被せ物を外すことも可能です。
以上がインプラント治療の一連の流れです。今回は骨を増生、新生するという骨再生療法を併用した流れです。必ず骨再生を行うわけでなく、十分な状態であれば骨再生治療は行いません。
インプラント治療は通常の入れ歯とは違い、周りの歯に負担をかけず、自分の歯のようにしっかり噛むことができます。しっかり噛めることは、たくさんの種類の食べ物を噛むことができるので、体への栄養を初め、美味しくご飯が食べられる喜び、噛む力がつくことでの筋力維持、増加にもつながり、メリットがたくさんあります。
欠点としてはケアしないと歯周病にかかるため、自分の歯と同じようにケアが必要です。定期的に歯科医院に通院し、状態をケアすることが大切となります。インプラントのためというよりも、自分の歯のためにも歯科医院での定期的なケアが大切です。
【費用】
●インプラントシュミレーション費用:¥33,000-
●インプラント埋入:¥330,000-
●骨再生療法:¥55,000-
●2次手術:¥22,000-
●歯型、被せ物:¥165,000-
⇨ 合計:¥605,000- 〈税込〉
【治療期間】
約半年
【利点・欠点】
利点:周りの歯に負担をかけず、自分の歯のように噛める
欠点:保険外治療 自分の歯のようにケアしないと歯周病に罹患する
【備考】
治療期間には個人差があります。
今回は奥歯1箇所ですが、場合によっては複数本が望ましいことがあります。
2024年7月8日
すきっ歯の治療で、ラミネートベニアと呼ばれる治療方法があります。近年では別名でスーパーエナメルとも呼ばれます。芸能人にこの治療方法をされている方が多いです。今回はこのラミネートベニアと呼ばれる治療についてのお話です。
ラミネートベニアとは、その名の通り「ラミネート+ベニア」薄いセラミックスのベニア板を貼り付けることを言います。
手法として
①歯の表面を薄く削り、またはほぼ削らず、歯型をとります。
②出来上がった薄いセラミックスを歯の表面に貼り付け、終了。
というものです。セラミックスなので変色や着色がないことが特徴です。また、意外かもしれませんが、この治療方法が、詰め物被せ物の中でも一番取れにくい、トラブルが少ないと言われています。
ラミネートベニアの利点としては以下が挙げられます。
・審美面で優れており、着色・変色しない
・比較的、歯科治療の詰め物被せ物の中では取れにくい(持ちがいい)
芸能人の方々も多数されているように、見た目の綺麗さはピカイチです。セラミックスの大きな特徴の1つといえます。
一方で欠点もあります。それは以下になります。
・歯を薄く、0.1〜0.3㎜削る必要がある。ただし、場合によっては削らないこともある。
・歯ぎしりが激しい場合、セラミックスが欠けることがある。
・生活歯(歯の神経が生きている状態)であり、歯の多くの部分が残っている
このラミネートベニアと呼ばれる方法は、歯の大部分が残っていることが適応条件です。というのは、歯の大部分が失われている場合は、強度の問題から「完全な被せ物」が適応になってくるためです。どの程度、歯が残っていれば良いかは噛み合わせや歯の状態によって変わりますので、一概に申し上げにくいですが、処置を検討されている方は一度歯科医院へ相談に行くことをお勧めします。
ラミネートベニア以外の治療の選択肢として「ダイレクトボンディング」という治療方法があります。これも、歯をほとんど削らずに行う詰め物の治療です。これは歯の元々の色合いや、面積など、総合的に考える必要があります。簡単に述べると、歯の色が比較的変色が強くない場合や、残っている歯が多い時にはダイレクトボンディングを選択しがちです。一方で、歯の人から見える部分、面積が多い場合はセラミックスを選択する傾向にあります。
どちらを選択するか、これも人それぞれ、歯の状態によりけりのため、言葉だけで述べるのが難しいところです。これも気になる場合は歯科医院へ一度相談することをお勧めします。
なお、ダイレクトボンディングについては他の記事でも取り扱っていますので、参照してください。
ラミネートベニア治療の実際を見ていきます。写真のように、前歯に「隙間・変色した詰め物」があります。気にする、気にしないは人それぞれですが、個人的な感想として、気にされている方が多いと思います。
治療にあたり、まずは変色した詰め物を取り除き、本来の歯の状態を確認します。写真のように歯の大部分が残っていました(虫歯の痕跡がない状態)。
この段階では、ダイレクトボンディング治療も選択肢に入ってきます。ここで治療の選択肢の相談となります。
検証の結果、片方の歯は比較的まっすぐな状態ですが、もう片方の歯がやや斜めになっていました。全体的に見た目の歯の傾きを是正したいという方向になりました。
ダイレクトボンディングでは隙間を埋めるだけのため、歯の視覚的な傾き加減は治せません。全体的に傾いて見える歯を是正するために、歯の表面全体を触る必要が出てきました。そのため、今回はラミネートベニアと呼ばれる、歯の表面全体を触る治療方法になりました。
ラミネートベニア治療として、歯の表面を薄く削ります。その後、歯型をとります。もちろん、削ったままでは見た目も、歯の本質的にも悪いため、仮歯を作り、最終的なセラミックス、ラミネートベニアができるまでは仮歯で過ごすことになります。
歯型をとり、出来上がったラミネートベニア(薄いセラミックス)です。これを実際にお口の中、歯の表面に貼り付けていきます。
ラミネートベニアを歯の表面につける時は、歯にゴムシートをつける必要があります。これはラバーダム防湿とも言います。これをつけることで、接着剤などの成分が歯肉に付着しないようにすることのほか、さまざまな理由で、ラミネートベニアと歯との接着力が向上します。(理由については割愛しますが、気になる方は「ラバーダム」で調べてみてください)
歯の表面に薬液を塗ります。こういった薬液が歯肉につかないためにもラバーダム防湿というゴムシートがあります。ここでは接着剤をつけていくステップです。最終的にはこの状態でラミネートベニア本体を歯につけていきます。
ラミネートベニアが装着された状態です。周りの歯とも色合いや形に違和感がなく、調和された状態です。ラミネートベニアの特徴としては自然の歯の色合いを再現できることが挙げられます。
ラミネートベニアは、このようなすきっ歯の改善のほか、外傷などで歯が欠けたとき、あるいは詰め物の劣化が激しい時などに用いられるセラミックス治療になります。歯の状態によって適応かどうかは判断が必要です。
ダイレクトボンディング、ラミネートベニア、セラミックスの被せ物など、見た目を改善する治療方法はいくつか存在し、それぞれ利点欠点があります。ご紹介したラミネートベニアは歯を最小限削る必要があります(時に削らずにできることもあります)。
今回の場合は利点欠点のほか、歯の状態を鑑みてラミネートベニア治療が最適という判断で行っています。ですが、似たような状態であっても時にダイレクトボンディングなど他の治療方法が適していることもあります。もし、似たような歯の状態で悩んでいる、気にしている方は、一度歯科医院に相談に行くことをお勧めします。治療をするしない関わらず、相談するだけでもスッキリするかもしれません。
【治療について】
・ラミネートベニア2カ所 ¥132,000-×2 = ¥264,000-
・治療回数 約3-4回 (資料どり⇨歯型⇨色合わせ⇨装着)
・利点、欠点 記事参照
2024年6月27日
小児・子供の前歯の部分矯正についてです。全体的な矯正治療が必要な場合もあれば、気になるところだけの矯正治療で大丈夫なこともあります。今回は見た目が気になる前歯についてのお話です。
子供の小児矯正には大きく3パターンがあります。
①既成のマウスピースで歯並びを改善していく
②装置を作成し、全体的に矯正治療をしていく(2期治療(ワイヤー)へと進むことがある)
③気になる箇所だけを部分的に治療していく
矯正のパターンは人それぞれです。似たような前歯のガタガタでも、部分的にそこだけで解決することもありますが、実際には全体的に矯正治療をしないと改善しないことが多いです。
具体的には、前歯だけを矯正治療で綺麗にしようとしても「噛み合わせ」の問題によって上下を治療しないといけないことが多く、これが理由で結果的に全体を行うことになります。もちろん噛み合わせはいいから見た目だけ治したいというお声もありますが、それができるかどうかはその子供の噛み合わせが影響してくるかどうかが1つのポイントになります。
周りのお子様も、部分的にしている子もいれば全体的にしている子もいるかと思います。見た目は似たような歯並びでも、上下全体を考えると手法が大きく異なることがよくあります。
今回ご紹介するのは、前歯に限定されたものです。奥歯の噛み合わせや並びは悪くなく、前歯だけやや前後しているという状態でした。
様々なケースがありますが、総合的に見て前歯の部分的な矯正で間に合うと判断し、矯正治療を開始することになりました。
前歯にワイヤーをつけ、部分矯正として小児矯正を開始します。
月1度の頻度でワイヤーを交換していき、約3ヶ月で前歯の並びがよくなりました。後は他の歯の状態、生え変わりを見守り、ワイヤーを外します。
矯正治療が終わると、歯が元の位置に戻ろうと少し動くことがあります。せっかく治療した歯並びが台無しになるため、それを止める装置を作成します。これは保定装置、リテーナーと呼ばれるものです。
小児矯正の場合つけなくても安定することが多いのですが、保険の意味を込めて作成、装着します。基本的には夜間、就寝時に装着していただくものです。
今回は前歯に限局した部分矯正のため、ワイヤー装着期間は3〜4ヶ月となり、経過観察、完全に終わるまでは半年となりました。
【矯正治療・期間】約半年
【矯正治療・費用】合計 ¥192,500-(税込)※調整料金は含まず
・検査 ¥11,000-
・部分矯正 ¥165,000-
・保定装置 ¥16,500-
・調整料金 ¥3,850-(月1回)
【備考】
・ワイヤーによる口内炎のリスクがあります。
・治療期間は各個人により異なります。1年以上かかる場合もあります。
このような部分矯正で解決するケースは決して多くはありません。歯並びを改善する場合、結局は上下全体的に行うことが望ましいことが多いです。歯並び、上下の噛み合わせ、お顔全体のバランスなどを総合的に評価した結果、部分矯正か、全体矯正かを判断します。
お子様の歯並びはどうなのか、矯正の場合どうなるかは、気になる場合は一度、歯科医院へ相談してみることをおすすめします。
2024年3月13日
すきっ歯(正中離開)を改善する方法に、ダイレクトボンディング審美治療があります。これは隙間を「詰め物」で埋めることで、見た目を改善する治療方法です。ダイレクトボンディングという手法を用いることで、見た目の自然さをはじめ、物持ちも良い治療となります。今回はすきっ歯(正中離開)の治療、ダイレクトボンディング審美治療をご紹介します。
すきっ歯の治療としては、一般的に3つ治療方法があります。1つは隙間を詰め物で埋めるというダイレクトボンディング治療です。2つ目はラミネートベニアという、歯の表面にネイルのような薄いセラミックをつける方法です。最後の1つは矯正治療です。矯正治療の場合はその人の歯並びや噛み合わせによって部分矯正、あるいは全体の矯正が必要になります。すきっ歯の隙間を埋める、詰めるダイレクトボンディングはそのままですが、埋めるだけなので治療が1回でおわります。ラミネートベニアという方法は、歯の表面を少し削る必要がありますので、そこに抵抗があるかどうかというのが選択肢の分かれ目かもしれません。
矯正治療で改善する場合の利点欠点は以下となります。
【利点】自分の歯で見た目を改善できる
【欠点】期間が長くなる。費用が大きくかかる
すきっ歯の見た目のほか、全体の歯並びも気にされる場合は矯正治療が望ましいでしょう。もちろん費用が大きくかかりますので、理想と現実的な問題があります。
すきっ歯をダイレクトボンディング審美治療で改善する場合の利点欠点は以下となります。
【利点】治療が1回で済む。矯正とは違い、比較的費用が抑えられる。
【欠点】自然な見た目といえども、人工物の詰め物なので、必ず着色が生じる。
ダイレクトボンディングとは、要は「綺麗で長持ちする詰め物をする」ということなので、しっかり歯ブラシをしないと着色は最低限生じます。人によっては、処置部位によっては、他と同様に歯石もつきますので、定期的なクリーニングが必要になります。
欠点でもありますが、それは矯正治療をしても歯石や着色がつくので、そういう意味では欠点はカバーできるともいえます。ただし怠ると劣化につながりますので、クリーニングという名の手入れが必要不可欠です。家電や洋服、車など、すべてのモノに言えますが、手入れをすることが長持ち、物持ちにつながります。
ラミネートベニアという審美治療で改善する場合の利点欠点は以下となります。
【利点】歯の表面が全体的にセラミックになり、歯の変色がない
【欠点】隙間以外の歯の表面を全体的に少し(0.1-0.5㎜)削る必要がある
この方法は一昔前からある治療方法でしたが、近年は治療の進歩がありダイレクトボンディングという手法が出てきたため、このラミネートベニアという方法は出番が少なくなってきました。ただし、歯も全体的に綺麗になるため、歯の状態によってはこちらを選択することもよくあります。ただし費用は当院の場合1つ13.2万円するので、すきっ歯改善の場合は2つ分となり、費用が上がります。
治療自体は1回で終了します。ただし、初診として受診してすぐその日にできるわけではありません。状態を確認し、矯正がベストか、詰めるだけの方が得策なのか、歯周病の状態、希望などの相談の上、総合的な判断が必要となります。つまり、現実的には【①初診⇨②ダイレクトボンディング治療】という流れになります。
治療時間は当歯医者ナカニシ歯科医院では90分いただいております。説明などを含め、余裕を持った時間です。それでも実際は60分くらい治療時間があるのではないでしょうか。ただし、医院によっては時間は違うかもしれませんので、あくまで当歯医者の場合です。
費用は【6.6万円(当ブログ作成時点です。費用の変更がある可能性があります)】いただいております。この費用についても当歯医者ナカニシ歯科医院のものなのであり、自由診療になりますので歯科医院によって価格に差があるかと思います。
「すきっ歯」ダイレクトボンディング治療は唯一適応条件とはならないケースがあります。それは歯周病や神経が抜いてある歯の場合の2つです。歯周病で歯肉が弱くなり、歯が前に出てきた、隙間が拡がってきたという場合は、仮に埋めたとしてもまた拡がってくる可能性があります。根本的には歯周病治療が大切となります。また神経が抜いてある歯の場合は詰め物というよりも歯の強度などから被せ物にすることが多いので、詰め物というよりも被せ物で隙間を埋めるという対応になることがあります。
いずれにせよ、その人その人によって状態や噛み合わせなどが違うため、一概に「これはできない」というわけではありませんが、自分の場合はどうなのか、気になる場合は一度、歯科医院を受診して相談してみることを提案します。
それでは実際の治療風景をご紹介します。前歯が「すきっ歯」になっています。これを改善する場合は基本的には①矯正治療②ダイレクトボンディングの2択になります。双方の利点・欠点・期間・費用などを踏まえ、相談の上、処置を決定します。今回は「すきっ歯」をダイレクトボンディング審美治療で処置することになりました。
なお、隙間があるか、埋まっているかで、第一印象は大きく変わります。
実際に埋めることでどのような印象になるのかのイメージが大切です。これは術者側(歯医者側)も処置するにあたってどのように行うかのイメージもありますが、患者側としてもどのような形になるのかを具現化することで、治療後の雰囲気をイメージすることができます。
初日の説明などを終えたのち、日を改めて「すきっ歯」ダイレクトボンディングを行います。処置にあたり必要に応じて麻酔注射を行います。その後、処置の歯の周りをゴムシート(ラバーダムと言います)で覆います。このゴムシートが意外と大切です。
ゴムシートをかけることで、粘膜に強力な接着剤などが付着しない目的が1つあります。もう1つは接着力をより強固にすることです。なぜ強固になるかと申しますと、例えば、セロテープや瞬間接着剤も乾燥している面には機能しますが、湿っていると機能しません。歯に対する接着力も同様で、口の唾液などの水分や、呼気に含まれる湿度が接着力を低減させます。歯を唾液や呼気からゴムシートで隔離することで歯の表面が極度の乾燥状態になり、接着力が強固に向上するのです。
歯にゴムシート(ラバーダム)をしたのち、歯の表面にエッチング剤というものを塗布します。これは歯の表面を脱灰させ(いい意味で粗くします)、接着剤の力が強力になるというステップです。
歯の10秒ほど時間を置き、写真でいう青い薬液を洗い流します。すると、青い薬液がついていた部分が白くなっているのがわかります。この白い部分が脱灰部分、簡単にいうと接着力が作用しやすくなった部分になります。
この後、写真にはありませんが、プライマー剤・ボンディング剤という接着剤を塗布します。そして実際に詰め物を歯に施していきます。
詰め物をする際に、通常の保険治療では使われないもの「ガイド」を用います。(バックウォールなど、いろんな言い方がありますが、ここではわかりやすくガイドと呼びます)
これは、あらかじめどこまで詰めるのかを決めておき、実際に詰める時にブレが生じないようにするためのものです。これを用いることで主観で詰め物をおこなうのではなく、客観的にも詰め物をしていくことができます。治療をする側にしかわからないですが、これがあるのかないのかは、出来栄えを含め、存在意義はかなり大きいです。
これを用いて、まずは片方だけを詰めていきます。
片方を詰めれば、もう片方を詰めていきます。この段階で大まかな形態は完成しています。あとは歯と詰め物の繋ぎ目や、厳密な段差や膨らみなどの調整を行います。これでダイレクトボンディング治療は終了です。
すきっ歯の改善としてのダイレクトボンディング治療のご紹介でした。写真では簡単に見えますが、実際の治療時間は60-90分いただいております。
【ナカニシ歯科医院での「すきっ歯」改善ダイレクトボンディング治療】
治療期間:最低2回(①初診カウセリング・歯型とり⇨②ダイレクトボンディング治療)
治療時間:60-90分
治療費用:6.6万円 (価格は予告なく変更する可能性があります)
注意事項:詰め物なので、過度の衝撃でかけることがあります。
定期的に歯科医院でクリーニングすることで変色劣化の防止につながります。
すきっ歯の改善はこのダイレクトボンディング審美治療、ラミネートベニア審美治療、矯正治療のどれかが一般的な選択肢となります。状態によってどれがいいかは一概に言えませんので、すきっ歯が気になり、治したい場合は一度歯医者さんに相談することをお勧めします。ただしどの治療方法も自由診療であり、歯科医院によっては費用も違いますので、その点を考慮した上で、ご相談ください。
2024年1月26日
セラミックス被せ物の歯科治療において後悔・失敗したくないと思います。後悔や失敗の多くの1つに、思っていた色や形通りではないことが挙げられます。特に前歯は見た目の印象を大きく左右するので、これら失敗や後悔はしたくありません。もちろん、しっかりと丁寧な治療を受けることができれば、出来上がったセラミックスの被せ物は偽物感がなく、本物の歯と見分けがつかないものとなります。今回は、その前歯に特化したセラミックス治療において、治療を受ける時の患者さん側の注意点や、歯医者側にとってのセラミックス治療への視点のお話です。
セラミックスの治療とは、自分自身の歯に対してセラミックスの被せ物を行うことを言います。その工程としては「①歯型をとる→②被せ物が入る」というのがざっくりとした流れとなります。ただし、前歯など、人目につくところの被せ物の場合はステップが分かれることが多いです。
セラミックスの治療の実際としては【①仮歯を作る→②歯型をとる→③歯の色の確認、調整→④色や形が大丈夫なら装着、大丈夫でなければ再調整→⑤色や形が大丈夫なら装着】というように、最終的に被せ物が入るまで、満足されるまで色合いや形の調整が入ります。歯の形については【仮歯】の段階で合わせることが多いです。そのため【①仮歯を作る→②歯の形を調整する→③歯の形が大丈夫になれば歯型をとる】というステップにもなります。
要は、セラミックスを作成、装着するにあたり「歯の形」「歯の色調」に満足されることが大前提となります。このステップを設ける歯医者さんもあれば、一発勝負で「こんなもんですよ」と調整が入ることなく被せ物が装着され、セラミックス治療が終わる歯医者さんもあります。当然のことながら、後者の歯医者さんの方がトラブル、セカンドオピニオンが発生するケースが多いです。
当歯医者では、前者のステップを踏むので、セラミックス治療となると、なんだかんだで歯型を取ってからセラミックスの被せ物が装着、治療が終了となるまで2ヶ月はかかることが多いです。もちろんその間は仮歯となります。せっかくのセラミックス治療なので、満足できる丁寧な治療を心がけております。言い換えると、この治療期間、最低でも約2ヶ月はかかるということに納得、同意の上でセラミックス治療を行うことになります。
失敗・後悔しないセラミックス歯科治療として、実際の治療をご紹介します。写真画像のように、前歯の詰め物・被せ物の変色、偽物感が気になるので綺麗にしたいという希望がありました。前歯なので、会話や笑顔の時に人目につくため、綺麗にしたいということでした。第一段階として、被せ物を外し、見た目のカバーとして仮歯を作るところから始まります。
詰め物・被せ物を外し、歯の状態を確認するともに仮歯を作成します。この時に歯の状態も確認します。虫歯があれば治療となります。外す以上は、見た目のことがあるので必ず仮歯を作り、その日は終了となります。歯の状態はあらかじめレントゲンで確認、予想します。当歯医者の場合、外して仮歯を作るのに60-90分のお時間をいただくことが多いです。
後日、仮歯を理想の形へと修正していきます。理想の形とは、基本的には左右対称としての隣の本物の歯の形に似せていきます。本物の歯と同じ形にすることで、違和感がなくなります。もちろん、患者さんにとっての理想の形がありますので、そのあたりも総合的に考慮し、仮歯を手直しします。
今回の場合は「歯の先端」「歯の全体的な膨らみ」を手直ししています。特に先端は笑った時に一番見える場所でもあります。先端が平坦でも良い感もしれませんが、本物の歯には多少なり凹凸がありますので、それを再現した方がより本物感が出てきます。この辺りも最終的にはセラミックス治療を希望される患者さんのご希望によって変わってきます。
歯の形が決まれば、歯型とりを行います。ここでは歯の色の写真も一眼カメラで撮影します。当歯医者の場合、歯型とり、写真撮影などでは約60分お時間をいただくことが多いです。
歯型を取れば、それを模型にし、歯科技工士がセラミックスの被せ物を作成してきます。患者さんにはわからないところですが、この歯型をいかに上手に取るかが、歯医者の技術が大きく関わります。
出来上がった模型でセラミックスの被せ物を作成します。あとはこれを実際にお口の中で調整してきます。
セラミックスの色合いと、本物の歯の色合いと調和が取れているか確認します。「色合わせ」のステップです。今回の場合、これでも十分綺麗ではありますが、厳密には本物の歯より色が濃い印象を受けます。これを受け、セラミックスの色合いを少し薄くする必要があるとわかります。
なお【歯型とり→色合わせ→装着あるいは再度色合わせ】という流れですが、基本的に色合わせをせずに装着することはほとんどありません。うまく行くことも稀にありますが、通常は色合わせのステップを挟みます。
前回の状態を受け、セラミックスの被せ物の色合いを変更したものです。写真のように、セラミックスの被せ物と本物の歯との見分けがつかないほどの仕上がりです。正面もですが、横から見ても見分けがつきません。
近年のセラミックスは、白い金属とも言われる「ジルコニア」という材質をベースに作成することが多いです。今回紹介したものは、このジルコニアと呼ばれるものを基盤に、セラミックス(ポーセレン)を築盛するタイプになります。
写真にあるように、表面は歯の色を再現したセラミックス(ポーセレン)が築成されていますが、歯の内側、上側は白色をしています。この白い部分がジルコニアと呼ばれるものです。
昔は、金属の上にセラミックスを載せたものや、セラミックス単体のものがありました。ですが、前者は見た目が綺麗ではなく、後者は強度がないことが欠点でした。このジルコニアと呼ばれるものや、セラミックスなど、材質の向上により、現代のセラミックスの被せ物は綺麗さと強度を兼ね備えたものとなりました。
失敗・後悔しないセラミックス治療として、あらゆる工程で1つずつ丁寧に確認していくことが大切です。冒頭でも申し上げましたが、歯医者さんによってはざっくりとした色調、形態でセラミックス治療が終了するところもあるかもしれません。もちろん保険治療の被せ物よりは綺麗かもしれませんが、その出来栄えに満足いくかどうかは患者さん次第です。
当歯医者では各ステップを少しずつ行なっていくことで満足のいく治療を提供できるように努めております。そのため治療期間は最低でも2-3ヶ月かかることが多いですが、その分満足度も高いセラミックス治療になっているのではないかと思っております。
2023年12月12日
歯肉移植の経過や費用、痛みについて気になりませんか?今回は歯肉移植を実際の症例を通じて、経過や費用についてお話ししていきます。
※インプラント治療に伴い、歯肉の移植を行うことが多いです。
歯肉移植は、必要とする歯肉を別部位から採取、移植することです。具体的には上顎から採取することが多いです。
歯肉の移植を行う理由は、簡単にいうと歯周炎などの防御力の向上です。歯肉には骨にしっかりついている部分(付着歯肉・角化歯肉と言います)と、頬を引っ張ると歯肉が動く部分(遊離歯肉)と2種類あります。歯の周りに付着歯肉という丈夫な歯肉が多いほど、歯周炎になりにくいと言われています。この付着歯肉が少ないと汚れが溜まりやすくなり、歯周炎になりやすくなります。
インプラント治療や被せ物を行う時は、やはり歯周炎になって欲しく無いため、必要に応じて防御力を上げるために歯肉の移植を行います。必ず移植しないといけないわけではありません。その人その人に応じて移植した方がいいかどうかなど、総合的に判断となります。
歯肉移植の処置は「①移植される側」「②歯肉を採取する側」の2箇所処置部位が出てきます。双方において、適切な処置をすればそれほど痛みは出ないと言われています。移植する側は言うならば歯茎と言う絆創膏で覆われます。採取される側についてはコラーゲンテープのようなもので覆うことで、傷口を隠します。
採取される側は通常は上顎なので、食事の時は特別熱いものや辛いものなど、刺激の少ないものを取るようにしましょう。
双方において、虫歯のズキズキのような痛みはなく、あったとしてもロキソニンなどの鎮痛薬を服用すれば十分間に合います。
歯肉移植の治癒期間として、移植した側は数ヶ月経過を見ることが多いです。傷口としては1−2週間の話ですが、完全に馴染むまでは数ヶ月見ることが多いです。一方で、歯肉を採取した側についても同程度です。1−2週間で新しい歯肉はできますが、採取した分だけ凹みます。数ヶ月たてば元に戻ります。
歯肉移植の実際です。インプラント治療している部分の周囲に付着歯肉と呼ばれる防御力の高い部分が少ない状態です。写真の矢印で示している白い歯肉がそれに該当しいます。この部分は頬を引っ張っても動かない分厚い歯肉です。ここが多いほど歯周炎などに強い歯肉となります。
実際に採取した歯肉です。面積については必要な分量となるので常に決まっているわけではありません。今回は、歯2〜3本分必要だったので、約2センチほど採取しています。
採取した部分は、コラーゲンテープのような膜で保護し、縫い付けます。いわば絆創膏のような状態にすることで、傷口を保護し、処置後の痛みや当たっていたいなどの不快な症状をなくすことができます。ただし、縫った糸を舌で触ると、細い糸なのでそのチクチク感はどうしても出てしまいます。
採取した歯肉を、必要とする部位に移植します。しっかりと縫合することで移植した歯肉が固定され、術後の痛みなどの軽減や、生着の早さにつながります。
移植後の、採取した側の糸抜きの前の状態です。脆弱ではありますが、歯肉が出来上がっています。あとは糸を抜き、経過を見ていきます。この段階ではすでに痛みはありません。
一方で、移植した側の状態です。どうしても見た目は異物感がありますが、体感としては一体化しているので問題ありません。時間とともに周囲の歯肉と馴染んできます。術前・術後を見ても、移植した歯肉と周囲の歯肉が馴染んできているのがわかると思います。
歯肉移植後の経過を見ていき、周囲の歯肉と馴染んでいることを確認します。矢印の部分、白い歯肉が付着歯肉と呼ばれる、顎骨に強固についている防御力の高い歯肉です。
術前と術後の状態です。歯肉の雰囲気が違うことが見てわかります。繰り返しですが、矢印の幅を見ていただくと歯肉が変わっているのがわかります。これが歯肉炎・歯周炎にとって防御力が高い状態です。
歯肉移植についてのお話でした。歯肉移植は必ず行わないといけないわけでは無く、最終的には相談の上の治療選択肢となります。理論的なことをお話しすると歯肉移植をすることで歯周炎などのリスク、防御力が上がるので行うに越したことはないですが、費用や治療期間、外科治療、イメージの問題などで避けたいと思う方がいらっしゃるのも事実です。歯肉移植も保険適応外の自由診療となります。当院では¥50,000-(税別)ですが、歯科医院によって違うかもしれません。
2023年11月12日
歯科インプラント治療には骨再生・骨造成を伴うことがあり、治療後の痛みや腫れについても気になると思います。今回はサイナスリフトという、上顎における骨造成・骨再生治療についてのお話です。(正式にはサイナスフロアエレベーションと言いますが、ここでは一般的に多くに認知されている名称サイナスリフトとしております。)
歯科インプラントは顎骨に「人工の歯の根」を埋める治療です。その人工の歯の根をインプラントと言います。そこに土台を立て、被せ物を作る治療です。歯科インプラント治療は顎骨があることが基本的な条件となりますが、場合によってはこの顎骨の大きさが不足している場合があります。生まれつきの顎骨の大きさもありますが、歯周病などによって骨が溶けてしまい、顎骨が痩せ細る場合もあります。理由は様々ですが、歯科インプラント治療において顎骨が不足している場合に行われるのが骨再生・骨造成治療となります。
歯科インプラント治療での骨再生・骨造成の治療方法はパターンがある程度決まっています。そのままかもしれませんが「①水平的 ②垂直的 」の2パターンです。「垂直的」パターンの中には、上顎に限ってさらに2つに分かれます。口腔内だけで行うものか、上顎洞という鼻の穴(副鼻腔)にも範囲が及ぶかの2パターンあります。
水平的な骨再生・骨造成は歯科インプラント治療にはよくある処置になります。それは、大抵の場合、歯を抜くことになるには歯が歯周病などで痩せ細っているパターンが多いので、確率的に骨の再生・造成治療が必要になるからです。一方で、垂直的なものの骨再生・造成はあまり行われる頻度は少ないです。理由は2つあり、1つは骨が歯周病で侵されているので、治療費用や期間などから諦めるパターン、もう1つは、技術的に難しいからです。もちろん他にも治療選択肢があるからなど、理由は様々ありますが、それらを加味しても頻度は少ない治療方法です。
歯科インプラントの骨再生・骨造成の治療にサイナスリフト(サイナスフロアエレベーション)というものがあります。これは骨を垂直的に再生・造成する方法で、鼻の穴(上顎洞・副鼻腔)の領域で行うものです。この処置は珍しい治療法ではありませんが、水平的な骨再生・造成と比較すると多く見られる治療方法ではありません。ですが、必要となるときには行う治療法です。これは、鼻の穴、副鼻腔は空洞になっているため、そこに骨再生・造成を行おうという治療方法です。どのようなときに行うか、実際の症例を例にご紹介します。
サイナスリフトという歯科インプラントでの骨再生・骨造成は、奥歯に行うときに用いられることが多い治療法です。下の写真のように、奥歯にインプラントを行う場合、インプラントを支える骨が十分あるかどうかをCT撮影するところから始まります。
CT撮影の画像写真です。一般的に、インプラントを行う場合は、理想的な歯の形をシュミレーションし、それを参考にインプラントの位置を確定していきます。下の画像にて、赤い線が予定している歯の位置・形です。それに対してインプラントを予定します。白い、灰色の部分は顎骨です。黒い部分は鼻の穴、上顎洞と呼ばれる副鼻腔です。予定しているインプラントは緑色で表示されています。この緑色のインプラントは鼻の穴に貫通しています。このまま処置を行うと、インプラントが鼻の穴・副鼻腔を貫通してしまい、支障が出てきます。単純に骨の支えも不足することになります。これを受け、鼻の穴、上顎洞と呼ばれる副鼻腔の空間に骨再生・骨造成の治療を必要とする判断をします。
基本的には、処置を予定している部位の側面、横のあたりから鼻の穴へとアプローチしていきます。画像のように、骨の一部を除去し、鼻の穴の粘膜を剥離してきます。その後、出来上がった隙間に骨再生・骨造成を促す人工骨を挿入し、封鎖を行います。言葉や文字にすると簡易的であり、かつ怖いイメージがあるかもしれません。聞きなれない、経験することがないのでそのように感じるかもしれませんが、歯科医師側からすると決して珍しい治療ではありません。
サイナスリフトの実際の流れです。治療予定の部位の側面あたりから鼻の穴、上顎洞という副鼻腔へとアプローチしていきます。
実際の状態を写真で撮影しています。予定部位にはインプラントが入っています。画像にて、赤い点線で囲まれている部分がサイナスリフトという骨再生・造成を行なった、鼻の穴へとアプローチしている箇所になります。一部白い粒のようなものが確認できますが、これは人工骨で、骨の再生・造成を促すものです。骨の状態などに応じて、インプラント治療とサイナスリフトを同時に行う場合と、別々で行う場合があります。本症例は同時に行なっています。
治療後の状態です。画像にて、黄色の点線で囲んである部分、白く濁っている部分があります。この部分が骨の再生・造成を行なった箇所になります。そこにインプラントが入っていることが確認できます。
処置後は骨の状態によりますが、数ヶ月〜半年の経過を待ち、歯型をとり、被せ物を作ります。昔はどろっとしたものを入れて歯型をとってきましたが、近年はスキャナーと呼ばれるものがあり、バーコードを読み取るようなイメージで歯の形を機械で読み取ることで歯型をとることができます。歯型とりが苦手という方もいらっしゃると思いますが、この点においては大きく進歩したと言えます。実際の状態と、スキャンした画像を並べています。より近代化していることが歯科業界の人間も実感できます。
その後、歯科技工所で歯を作成して、実際のインプラントの部分に装着すれば治療は完了となります。
このサイナスリフトという骨再生・骨造成処置は、鼻の穴(副鼻腔)の粘膜を触れる処置になります。結果として鼻の症状が出ることがあります。具体的には副鼻腔炎のような、鼻の違和感、鼻汁をはじめ、鼻血が出ることがあります。外科処置そのものに対するものには腫れ、痛みがあります。数日から1週間ほど生じるとお考えください。必ず生じるものではなく、痛みや腫れ、鼻の症状が全く出ないこともあります。
歯科インプラント治療は顎骨の状態に左右され、必要に応じて骨再生・骨造成が必要になります。上顎に関してはサイナスリフトという、鼻の穴(副鼻腔・上顎洞)に触れる処置もあります。怖いというイメージがあるかもしれませんが、それは体の手術と同じで、誰もが感じるイメージかもしれません。避けるとなれば、入れ歯治療に移ることになります。骨再生・骨造成を行いインプラント治療を受けるというのは、あくまでも治療の選択肢です。治療期間・費用もですが、インプラントか入れ歯かというところで、処置の決断などにされれば良いかと思います。