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歯科インプラント骨再生骨造成・サイナスリフトについて

2023年11月12日

歯科インプラント治療には骨再生・骨造成を伴うことがあり、治療後の痛みや腫れについても気になると思います。今回はサイナスリフトという、上顎における骨造成・骨再生治療についてのお話です。(正式にはサイナスフロアエレベーションと言いますが、ここでは一般的に多くに認知されている名称サイナスリフトとしております。)

 

 

サイナスリフト 歯科インプラントの骨再生・造成とは

 

①歯科インプラントでの骨再生・骨造成とは?

歯科インプラントは顎骨に「人工の歯の根」を埋める治療です。その人工の歯の根をインプラントと言います。そこに土台を立て、被せ物を作る治療です。歯科インプラント治療は顎骨があることが基本的な条件となりますが、場合によってはこの顎骨の大きさが不足している場合があります。生まれつきの顎骨の大きさもありますが、歯周病などによって骨が溶けてしまい、顎骨が痩せ細る場合もあります。理由は様々ですが、歯科インプラント治療において顎骨が不足している場合に行われるのが骨再生・骨造成治療となります。

 

 

②歯科インプラントでの骨再生・骨造成にはパターンがある

歯科インプラント治療での骨再生・骨造成の治療方法はパターンがある程度決まっています。そのままかもしれませんが「①水平的  ②垂直的 」の2パターンです。「垂直的」パターンの中には、上顎に限ってさらに2つに分かれます。口腔内だけで行うものか、上顎洞という鼻の穴(副鼻腔)にも範囲が及ぶかの2パターンあります。

 

水平的な骨再生・骨造成は歯科インプラント治療にはよくある処置になります。それは、大抵の場合、歯を抜くことになるには歯が歯周病などで痩せ細っているパターンが多いので、確率的に骨の再生・造成治療が必要になるからです。一方で、垂直的なものの骨再生・造成はあまり行われる頻度は少ないです。理由は2つあり、1つは骨が歯周病で侵されているので、治療費用や期間などから諦めるパターン、もう1つは、技術的に難しいからです。もちろん他にも治療選択肢があるからなど、理由は様々ありますが、それらを加味しても頻度は少ない治療方法です。

 

 

③歯科インプラントでの骨再生・骨造成 〜上顎洞・サイナスリフト〜

歯科インプラントの骨再生・骨造成の治療にサイナスリフト(サイナスフロアエレベーション)というものがあります。これは骨を垂直的に再生・造成する方法で、鼻の穴(上顎洞・副鼻腔)の領域で行うものです。この処置は珍しい治療法ではありませんが、水平的な骨再生・造成と比較すると多く見られる治療方法ではありません。ですが、必要となるときには行う治療法です。これは、鼻の穴、副鼻腔は空洞になっているため、そこに骨再生・造成を行おうという治療方法です。どのようなときに行うか、実際の症例を例にご紹介します。

 

 

 

④歯科インプラントでの骨再生・骨造成 〜上顎洞・サイナスリフト〜

1. サイナスリフト前のCT撮影検査

サイナスリフトという歯科インプラントでの骨再生・骨造成は、奥歯に行うときに用いられることが多い治療法です。下の写真のように、奥歯にインプラントを行う場合、インプラントを支える骨が十分あるかどうかをCT撮影するところから始まります。

 

 

歯がないところにインプラント治療を予定します。CT撮影で顎骨の状態を確認します。

 

 

2. サイナスリフト前のCT撮影検査  上顎洞への骨再生・骨造成

CT撮影の画像写真です。一般的に、インプラントを行う場合は、理想的な歯の形をシュミレーションし、それを参考にインプラントの位置を確定していきます。下の画像にて、赤い線が予定している歯の位置・形です。それに対してインプラントを予定します。白い、灰色の部分は顎骨です。黒い部分は鼻の穴、上顎洞と呼ばれる副鼻腔です。予定しているインプラントは緑色で表示されています。この緑色のインプラントは鼻の穴に貫通しています。このまま処置を行うと、インプラントが鼻の穴・副鼻腔を貫通してしまい、支障が出てきます。単純に骨の支えも不足することになります。これを受け、鼻の穴、上顎洞と呼ばれる副鼻腔の空間に骨再生・骨造成の治療を必要とする判断をします。

 

骨が少ないためインプラントが上顎洞に抜けてしまいます  サイナスリフトという骨再生・造成を行わないと、鼻の穴に貫通してしまいます

サイナスリフト、骨再生・造成を計画します

 

 

3. サイナスリフト 上顎洞への骨再生・骨造成の手順

基本的には、処置を予定している部位の側面、横のあたりから鼻の穴へとアプローチしていきます。画像のように、骨の一部を除去し、鼻の穴の粘膜を剥離してきます。その後、出来上がった隙間に骨再生・骨造成を促す人工骨を挿入し、封鎖を行います。言葉や文字にすると簡易的であり、かつ怖いイメージがあるかもしれません。聞きなれない、経験することがないのでそのように感じるかもしれませんが、歯科医師側からすると決して珍しい治療ではありません。

 

サイナスリフト骨再生・造成として、横の骨から鼻の穴へとアプローチしてきます

 

 

4. サイナスリフト 上顎洞への骨再生・骨造成の実際

サイナスリフトの実際の流れです。治療予定の部位の側面あたりから鼻の穴、上顎洞という副鼻腔へとアプローチしていきます。

骨再生・造成の方法は、処置予定の横あたりからアプローチしていきます   骨再生・造成は、処置予定の横あたりからアプローチしていきます 

 

 

実際の状態を写真で撮影しています。予定部位にはインプラントが入っています。画像にて、赤い点線で囲まれている部分がサイナスリフトという骨再生・造成を行なった、鼻の穴へとアプローチしている箇所になります。一部白い粒のようなものが確認できますが、これは人工骨で、骨の再生・造成を促すものです。骨の状態などに応じて、インプラント治療とサイナスリフトを同時に行う場合と、別々で行う場合があります。本症例は同時に行なっています。

 

骨造成として、人工骨を施します。これを元に再生して行きます。

 

 

治療後の状態です。画像にて、黄色の点線で囲んである部分、白く濁っている部分があります。この部分が骨の再生・造成を行なった箇所になります。そこにインプラントが入っていることが確認できます。

 

サイナスリフト・骨再生・造成を終えた状態です。白く骨の塊が確認できます

 

 

 

5. サイナスリフト 上顎洞への骨再生・骨造成の後

処置後は骨の状態によりますが、数ヶ月〜半年の経過を待ち、歯型をとり、被せ物を作ります。昔はどろっとしたものを入れて歯型をとってきましたが、近年はスキャナーと呼ばれるものがあり、バーコードを読み取るようなイメージで歯の形を機械で読み取ることで歯型をとることができます。歯型とりが苦手という方もいらっしゃると思いますが、この点においては大きく進歩したと言えます。実際の状態と、スキャンした画像を並べています。より近代化していることが歯科業界の人間も実感できます。

 

サイナスリフト・骨再生・造成の後は、期間をおいて歯型を取ります  スキャンした画像です    スキャンした画像と、実際との比較です。

 

 

その後、歯科技工所で歯を作成して、実際のインプラントの部分に装着すれば治療は完了となります。

歯型をとり、インプラントの被せ物を作ります    インプラントの歯型をとり、被せ物が入ります

 

 

⑤歯科インプラントでの骨再生・骨造成 〜上顎洞・サイナスリフト〜 痛みは?

このサイナスリフトという骨再生・骨造成処置は、鼻の穴(副鼻腔)の粘膜を触れる処置になります。結果として鼻の症状が出ることがあります。具体的には副鼻腔炎のような、鼻の違和感、鼻汁をはじめ、鼻血が出ることがあります。外科処置そのものに対するものには腫れ、痛みがあります。数日から1週間ほど生じるとお考えください。必ず生じるものではなく、痛みや腫れ、鼻の症状が全く出ないこともあります。

 

 

 

⑥歯科インプラントでの骨再生・骨造成 〜上顎洞・サイナスリフト〜 まとめ

歯科インプラント治療は顎骨の状態に左右され、必要に応じて骨再生・骨造成が必要になります。上顎に関してはサイナスリフトという、鼻の穴(副鼻腔・上顎洞)に触れる処置もあります。怖いというイメージがあるかもしれませんが、それは体の手術と同じで、誰もが感じるイメージかもしれません。避けるとなれば、入れ歯治療に移ることになります。骨再生・骨造成を行いインプラント治療を受けるというのは、あくまでも治療の選択肢です。治療期間・費用もですが、インプラントか入れ歯かというところで、処置の決断などにされれば良いかと思います。

 

 

 

 
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