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歯が根元から折れた時の治療について(歯根破折・矯正的挺出)

2023年5月18日

歯が根本から、折れた、欠けた、割れたことありませんか?破折の状態によっては歯根破折、歯冠破折と言い分けられます。中には割れてはいないヒビの状態(クラック、マイクロクラックともいいます)もあります。それぞれ治療方針がかわります。具体的にそれぞれの状態と治療方針について述べていきます。

 

①破折の種類について

(1)歯冠破折

…歯茎より上の部分が欠けている

 

(2)歯根破折

…歯の根まで折れている

 

(3)ヒビ、クラック、マイクロクラック

…ヒビ割れを起こしている状態。まだ完全に割れてはいないが、部分的に割れていることもある

 

 

 

 

②歯冠破折

歯感は症状にもよりますが詰め物、歯形をとって銀歯、セラミックなどで治療していきます。ただし神経近くで折れていると神経を取り除く処置(抜髄、根管治療)となります。

事故やスポーツでぶつかったりすると、破折することが多いです。虫歯によって歯の内側が空洞になり、食事によって欠けることもあります。詰め物をしていると、歯と詰め物の境目からパキッと割れる、かけることもあります。

症状は、破折、欠ける具合にもよりますが、神経が生きている歯であればしみることが多いです。神経近くで破折するとズキズキしてきます。この場合は先述しましたが、神経処置(抜髄、根管治療)となります。

 

 

 

 

③歯根破折

歯根破折…この場合は、縦に折れているか、横に折れているかで治療方針がかわります。

縦に折れている場合は一般的に抜歯になります。

横に折れている場合は、抜歯になるか、あるいは保険外治療を選択することで歯を残していくことがあります。要は折れどころで決まります。

これは一般的には抜歯となります。ただし、横に折れている場合は残せる場合があります。

 

●破折が縦の場合

歯が折れて割れると、縦の場合は抜歯になることが多いです 歯が折れて割れると、縦の場合は抜歯になることが多いです

前述通り、抜歯となります。

 

 

●横の場合

折れどころによりますが、残る場合があります。一般的に神経を抜いた歯に起こりやすいです。

以下、実際の症例を見ていきます。

 

①一見何もない歯ですが、のちに割れてきます

見た目何もないですが、のちにこの歯が割れ、破折します

 

 

②歯が割れてきました

写真のように、銀歯と歯の間で折れています。神経がない歯をこのように部分的な詰め物で終了すると破折してしまいます。

歯が折れた、割れたという状態です 破折しています

 

 

③歯が割れたところを確認します

肉眼、視診でも正直なところどこまで折れたのか推測できますが、レントゲンで状態の確認を行います。

歯が折れた、割れたという状態です 破折しています

 

 

④レントゲンで歯と骨の位置関係を見ていきます

歯が折れた、割れたという状態です 破折しています 状態をレントゲンで確認します

骨の位置まで割れているかどうかがポイントです。骨の近くまで割れていると、一般的に抜歯が治療の選択肢に入ってきます。なぜかというと、簡単に言えば正常な歯茎が再生しないため、術後症状が出る可能性があるからです。人間は、骨の周りには真皮、表皮など皮膚があり、その厚みが決まっています。歯も同じで、歯茎には厚みが必要です。骨の近くまで歯がなくなると、歯茎は残っている歯に沿って再生するので、厚みが薄くなります。その結果、症状が出るということです。(※分かりやすくいうとこの説明になります。厳密には理由や状態は違うのですが、ここではざっくりのイメージで説明しています)

 

この画像では骨の近くです。そのため、治療の選択肢としては

⑴ 抜歯

⑵妥協的にこのまま被せ物を作る

⑶歯の挺出

⑷歯周外科

となります。⑶歯の挺出、⑷歯周外科というのは保険外治療になります。この2つは手法が違うのですが、目的は共通していて、要は歯を骨から離すことで正常な歯肉を作るということです。どちらを選択するかは治療期間や主治医の判断、治療を受ける患者さんの意向などで決定します。

 

 

⑤歯を挺出させます

歯が骨の近くまで折れているため、自然に放置すると下の写真のようになります。正常な歯茎を維持するため、適正な厚みが出来上がりますが、歯がない部分は、歯が覆われています。

歯を挺出させるために、ワイヤーを隣の歯に接着剤でつけます。そして挺出させたい歯にフックをつけ、フックとワイヤーをゴムで繋げます。ゴムの力で歯を引っ張り上げます。

 

歯が割れた、折れた歯根破折した歯を挺出させます

歯が割れた、折れた歯根破折した歯を挺出させます

 

 

 

⑥歯を引っ張り終えました

これにより眠っている歯が出てきたことで、歯の輪郭が確認できます。周りは他の歯茎同様のピンク色の歯肉が確認できます。

たったこれだけなので、意味あるのかなと思うかもしれませんが、このちょっとした差が、被せ物をしたあとの症状の有無、歯肉炎、歯周炎の起こりやすさなどにつながります。

 

歯が折れた、割れた破折した歯を引っ張り出します

歯が折れた、割れた破折した歯を引っ張り出します

 

 

 

④ヒビ、クラック、マイクロクラック

これは完全に割れていないですが、文字通りひび割れ、完全に破折する前兆の状態です。ヒビが入ることで症状が出てきます。神経がある歯は「冷たいもの・温かいものがしみる」となります。神経がない歯は「歯茎の腫れ・違和感」が出てきます。

 

この場合は現状では使えるところまで使うという妥協的な、経過観察事案のほか、積極的に治療するということで、外科的にヒビ割れを修復する方法があります。

これらについてはまた別の記事として挙げていきます。

 

 

⑤まとめ

歯が折れた、割れたといった破折した場合、その部位によって治療の選択肢が分かれます。上記のような治療選択を提案されずに抜歯一択の説明をうけ、そのまま抜歯に至る方がいらっしゃいます。もちろんその人にとってはその選択肢しかないと思っているので、その時は後悔はないのかもしれませんが、後々、歯を残す治療方法があったと聞くとやはり後悔するかもしれません。ですが一方で、もちろん歯を残す治療方法を選択しても一生もつかどうかは別問題なので、そこへの理解は大切です。一般的に歯を削ると寿命が下がりますので、歯を残す意義はあります。治療期間や費用を含め、自分の価値観にあった治療選択が大切です。

 
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