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歯ぎしりとマウスピース 原因や症状、効果、メリットデメリット

2021年12月9日

津市久居の歯医者「ナカニシ歯科医院」です。歯ぎしりにはマウスピースが効果的です。今日は歯ぎしりの原因や伴う症状、マウスピースの効果についてのお話です。

 

【目次】
①歯ぎしりとは?
②歯ぎしりの力ってどれくらい?
③歯ぎしりの原因は?
④歯ぎしりは良くないの?悪いもの?
⑤歯ぎしりによる症状と対応、治療について
⑥歯ぎしり対策としてのマウスピースはどんなもの?
⑦マウスピースのデメリットは?
⑧まとめ

 

 

①歯ぎしりとは?

「歯ぎしり」一度は聞いたことがあると思います。寝ている時や無意識の時に、強い力で上下の歯が擦り合わさり「ギリギリ」と音がなることです。専門用語では「ブラキシズム」とも言われます。厳密には3つのパターンがあります。上下の歯を強い力で食いしばるだけの「クレンチング」、上下の歯をすり合わせて音が鳴る「グラインディング」、上下の歯をカチカチさせる「タッピング」というものです。

 

これらは無意識下で行われるものなので、自分自身で気づくことが非常に難しいです。中にはあまりの激しさに起きてしまう方もいらっしゃいますが、稀です。自覚症状がないことが多いので、一般的には家族に指摘される、歯などの口腔内や、顎、顔面に歯ぎしりによる変化が出ることで、歯科医院で指摘されることが多いのではないでしょうか。

 

歯ぎしりには3パターンあります

 

 

 

 

②歯ぎしりの力ってどれくらい?

日常的に自分で噛む最大力は体重くらい、40〜70kgくらいと言われています。歯ぎしりの場合は100kgを超えることもあります。考えてみると、起きている時に自分自身で歯ぎしりがするほどの噛む力を入れることはほぼできないと思います。ということは日常的に最大の力を遥かに超える力がかかっていることになります。

 

 

歯ぎしりで歯が削れることがあります。歯の硬さはモース硬度という指標では「7」です。具体的なものとして、ダイヤモンドが「10」、骨が「4−5」です。コンクリートや大理石が「3−4」です。日常的にわかりやすいコンクリートや大理石を超えて、骨より硬いものが歯になります。これが簡単に削れるわけなので、音が鳴るくらい歯ぎしりをしている方は相当な力がかかっています。

 

歯の硬さは骨より硬い(モース硬度)

歯ぎしりや噛む力で歯が破折、割れることがあります

歯ぎしりや噛む力で歯が破折、割れることがあります2

 

 

 

 

 

③歯ぎしりの原因は?

ストレス、コーヒなどのカフェイン摂取、アルコール、睡眠時無呼吸症候群、不安障害、日常における食いしばり癖など、さまざまな原因が考えられていますが、確定的な原因は判明しておりません。言い換えると、歯ぎしりをしている人は上記のリスク要因が当てはまる人が多いという見解です。今後、どのようなメカニズムで生じているのか、原因は何なのかの解明が求められています。ただし、実際寝ているところを観察し、測定し、その人の生活習慣などを追うというのは現実的に難しいので、原因追求があまりされていないというのも事実あります。

 

歯ぎしりの原因はアルコールやタバコ、カフェイン、ストレスなど多々考えられています

 

 

 

 

④歯ぎしりは良くないの?悪いもの?

歯ぎしりはほとんどの人が多少なりしていると考えられています。歯ぎしりは無意識下において、溜まっているストレスを緩和するための生体防御反応という考え方や、歯ぎしりを行うことで気道確保や唾液分泌促進を促すという生理的な現象という考え方など、ポジティブな現象として捉えられています。ただし、その歯ぎしりの度合いが激しいと身体に影響が及ぼすということで、人によっては害が出るというものです。

 

 

 

 

 

⑤歯ぎしりによる症状と対応、治療について

歯ぎしりが常習化することで、一般的には「歯」「歯茎」「顎の骨」「顎の関節」などに症状が現れます。さらにその影響で肩こりなど全身への影響も現れることがあります。もちろん肩こりなどは歯ぎしり以外にも仕事や私生活の体の使い方も影響するので一概に歯ぎしりが原因とはいえませんが、数ある多くの原因因子の1つに歯ぎしりがあるというところです。そのため、歯ぎしりが直接的な原因であるという科学的証拠は今なお断定できていません。

 

 

1「歯」の症状

歯が少しずつ擦り減ってきます。そうすると歯が短くなってくるため、見た目の問題がでてくることがあります。また歯が擦り減らずに歯と歯茎の境目付近が削れる、凹んでくることがあり、そこが「冷たい水がしみる」ということもあります。

 

 

「歯が擦り減っている場合」

治療方法はすり減った分だけ歯を作ることになりますが、非常に難しい問題です。正直なところ、生理的な現象として治せないという判断をすることが多いです。具体的な理由としては、歯がすり減った場所に被せ物や詰め物で歯を作ったとしても、歯ぎしりによりすぐ取れる、外れるからです。またすり減っている歯の数が多ければ多いほど、1箇所だけ擦り減った場所を回復すると、その1箇所しか噛めなくなる、当たらなくなることが多いので全体的に擦り減った場所を回復させる必要があります。

全体的にすり減っている状態から本来の歯の形に回復させたいと希望がある場合は全体的な噛み合わせを回復させるという大掛かりな治療になることが多く、保険治療では限界があり自費治療になることが多いです。

 

歯ぎしりで歯がすり減っています

 

歯ぎしりで歯がすり減って茶色の部分が見えてきます

 

 

「歯の根元あたりが凹んでいる、くびれている場合」

この時は「経過観察」「しみる場合はシミどめを塗る」「凹みを埋める」「歯茎、歯肉の移植」という方法を取ります。見た目が気になるかどうかがポイントになります。凹みを埋める場合はプラスチック(コンポジットレジン)を埋めることが多いです。「歯茎、歯肉の移植」というのは自分自身の歯茎を移植するというもので、ある種の自己再生治療となります。「シミどめを塗る」ことは、CMなどでもあるような知覚過敏という症状に対する治療方法です。歯磨き粉でも知覚過敏用のものが販売しているので、これを購入するというのも1つの方法です。

 

歯ぎしりで歯と歯茎がくびれてきます1

歯ぎしりで歯と歯茎がくびれてきます2

 

 

 

2「歯茎」の症状

歯が歯ぎしりや食いしばりなどで強い力で揺さぶられることで、歯を支える歯槽骨が失われ、歯がぐらぐらすることがあります。指で歯を触ると動く場合は問題があるため歯医者で状態を確認することが大切です。一方でカチッと噛んだ状態でぎりぎり上下の顎を動かした時に歯が揺れうごいた場合は要注意です。歯ぎしりが激しい可能性があります。また歯がぐらつかなくても、歯茎が下がることがあります。これも歯が強く揺さぶられているサインの1つです。

 

歯茎が下がってしまうと、回復させるには「歯茎の移植」という手法がとられることが多いです。外科治療になることや保険外治療になることもありますので、どこまで気にされるかなど患者により治療を希望される、されないが別れるところです。

 

歯ぎしりで歯茎が下げることがあります1

歯ぎしりで歯茎が下げることがあります2

 

 

 

3「顎の骨」の症状

症状というより「変化」です。上顎や下顎の骨がボコっと膨らんできます。具体的な場所として歯の根元あたりと、下顎では内側の舌で触れる範囲、上顎では鼻の下に当たるところです。これは痛みなどはないですが、骨がボコっと出るので、場所によっては鬱陶しさや発音のしにくさ、歯ブラシのしにくさが出てきます。ですが少しずつ骨が出てくるので、自然と舌なども慣れていくことから、そこまで困る人はさほどいないというのも実情です。入れ歯を使っている人にとっては弁慶のスネどころのように当たると痛いので困ることがあります。また、上顎がボコっと出ると、発音のしにくさのほか、食事で当たって痛いなどもあります。

歯ぎしりで骨隆起という骨が出てきます1

歯ぎしりで骨隆起という骨が出てきます2

歯ぎしりで骨隆起という骨が出てきます3

 

 

 

4「顎の関節」の症状

歯ぎしりの強さが顎の関節に影響を及ぼすことがあります。「顎関節症」とも言います。「顎がだるい」「顎が痛い」「口が開けにくい」などの症状が現れます。治療方法は「マウスピース作製、顎への負担を和らげる」「マッサージ」「内服薬で痛み軽減」などがあります。

考え方としては、①マウスピースで歯ぎしりなどで生じる過度の力が関節に直接作用しないように緩衝させる ②関節に生じた炎症に対してマッサージや内服で落ち着かせる というものです。

 

 

 

 

 

⑥歯ぎしり対策としてのマウスピースはどんなもの?

前述ではそれぞれに生じる症状についてお話ししましたが、根本的には歯ぎしりという「過度の力」が与える影響です。それを少しでも緩和するのがマウスピースです。歯科医院によって色々あるかもしれませんが、大きく3種類あります。簡単にいうと「柔らかいタイプ」「硬いタイプ」「硬さと分厚さがあるタイプ」です。全てにおいて、上顎につけるのが一般的です。

 

1柔らかいタイプ

装着した時の歯への絞めつけ感覚が一番弱いため、違和感が比較的に少ないです。その代わりに、材質がやらかいため、歯ぎしりが激しい場合はすぐ穴が空いてしまします。補修ができないので、穴が空いたら作り替えとなります。

マウスピースの柔らかいタイプです。

マウスピースの柔らかいタイプです2

 

 

2硬いタイプ

装着した時の歯への締めつけ感覚が多少あります。ですが、きついと感じる場合は調整することでゆるくできます。調整できてゆるくなるという点においては柔らかいタイプとそう変わらないかもしれません。唯一違う点は、硬さがあるので歯ぎしりが激しくても比較的穴が開きにくいことです。もちろん最終的には穴が開くことがありますが、柔らかいものと比較すると耐久性があります。さらに、穴が空いても補修が効きことがメリットにあります。ただし、補修できるといえどもツギハギ感が出てしまうため、見た目が悪くなることや、補修部位の境目が変色、着色、雑菌がわきやすいなどそれなりの欠点があります。

マウスピースの硬いタイプ。下敷きくらいの硬さです

 

 

歯ぎしりでマウスピースが削れています1

歯ぎしりでマウスピースが削れています2

 

歯ぎしりで削れたマウスピースを修理しています2

歯ぎしりで削れたマウスピースを修理しています1

 

 

 

 

3硬くて分厚いタイプ

これは装着した時の違和感が一番強いものになります。専門用語では「スタビライゼーションタイプ」とも言います。これはカチカチ噛むと全体が当たりますが、歯ぎしりで歯をギリギリさせると奥歯が浮くように噛み合わせを調整されています。一般的に歯ぎしりでの横揺れは糸切り歯は強いので受け止められますが、それ以外の歯は歯ぎしりの横揺れに非常に弱いです。そのため、このタイプが一番歯を守るためには一番良いものとなります。もちろん歯ぎしりの状態や元々の噛み合わせによっては不向きなこともありますので歯医者さんでの判断になります。

 

このタイプの欠点は、分厚さがある違和感や装着感が強いことです。また、分厚いマウスピースによって唇が押し出され、口が閉じにくいことです。夜間これをつけて寝ると、歯ぎしりにとっては良いですが、口がぽかんと開いた状態で寝ることになるので喉が乾燥し、体調を崩しやすくなります。口止めテープなどで対策はできますが、そこまでしないといけないのかという煩わしさがあります。年齢が上がると喉の乾燥による免疫力低下は、1日だけならまだしも、期間が長くなるとボディーブローのように気付ければ風邪を引き長期化してしまうため避けたいところです。ですが、今回のように「歯ぎしりにより生じる影響、症状を防ぐ」という点においてはこのタイプが一番効果的です。

あまりに激しいと、経年的に削れていき、奥歯も干渉しはじめ、マウスピースが全体的に削れていきます。その時は作り替えか修理となります。

 

 

マウスピースの分厚いタイプ1

マウスピース分厚めのタイプ スタビライゼーションスプリント カチカチかむと全体的にあたります

歯ぎしりをすると、奥歯が浮くように噛み合わせが調整されているタイプです

歯ぎしりをすると、奥歯が浮くように噛み合わせが調整されているタイプです。奥歯は横揺れに弱いので、マウスピースで歯ぎしりから守ります。

歯ぎしりが激しいとマウスピースが削れていきます

⑦マウスピースのデメリットは?

前述したような「違和感」「口が閉じにくい、喉の乾燥による免疫力低下(人によります)」などもありますが、しっかり歯を磨いてマウスピースをつけないと虫歯になります。通常は唾液の力である程度虫歯菌を落ち着かせることができますが、マウスピースをつけていると唾液が歯に流れないので本来の虫歯菌への防御力が低下します。また、種類にもよりますが、長期間マウスピースをつけていると噛み合わせが変わるという検証報告もあります。ただし、必ず噛み合わせが変わるというわけではありません。実際、マウスピース矯正では数年間マウスピースを装着することになりますが、顎の関節への影響や噛み合わせの変化はさほど起きません。絶対ではありませんが、多くの問題があればマウスピース矯正は実用化されていません。マウスピースをつけることで噛み合わせの変化が少なからず報告されていますが、むしろマウスピースによって顎関節への負担や身体的な影響への改善など、有効性があるという報告が圧倒的に多いです。総合的に考えると、症状によってはマウスピースを試すことで見込まれる恩恵が多いと考えます。

 

 

 

 

⑧まとめ

歯ぎしりは口の中のみならず、顎関節など口腔顔面として症状が出ることがあります。歯ぎしりの強さや頻度は人によりけりであり、症状がでない人もいます。周りの人で歯ぎしりしている方がいても、同じ症状が出ているとは限りません。さらに、歯ぎしりが原因で症状が出ているであろう見解が世界基準ですが、直接的かつ科学的な証拠までは至っておりません。ですが、歯ぎしりを指摘されたり、あるいは上記の症状が当てはまるのであれば、一度歯科医院で相談するのも1つではないでしょうか。

 

 

 

 

 
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