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歯周病が及ぼす全身への影響【認知症・脳血管・心筋梗塞・メタボリックドミノ】

2021年3月22日

津市久居の歯医者 歯科医院の「ナカニシ歯科医院」です。

 

歯周病は生活習慣病です。全身に悪影響を及ぼすことが知られています。歯周病により認知症や脳血管障害、心筋梗塞への影響があります。最近では、研究結果として「認知症の原因物質が歯周病によって蓄積する仕組みを解明」とニュースもありました。アルツハイマー型認知症とは、認知症の中で最も多いものです。脳の委縮が特徴で、症状はもの忘れなどの記憶障害や判断力の低下などです。アルツハイマーなど認知症は根本的な治療が確立されていないため、仮に歯周病治療で認知症の発症が抑制されるのであれば、これほど手軽な治療法はありません。

 

【目次】
①アルツハイマーと口の中の関係
②アルツハイマー型認知症と歯周病の関係
③歯周病とアルツハイマー型認知症との関係の追及
④メタボリックドミノ
⑤歯周病と脳梗塞、心筋梗塞
⑥歯周病とお口の環境変化、悪化による認知症のリスク
⑦歯を失わないために
⑧最後に

 

 

 

①歯周病;アルツハイマーと口の中の関係

アルツハイマー認知症の人は、健康な人よりも歯の数が少なく、歯の数が少ないほど脳の萎縮が進んでいると言う報告があります。平均年齢70歳後半の人において、健康な高齢者の残っている歯の数が平均9本に対し、アルツハイマー型認知症の人は3本であったという調査結果があります。認知症もいろいろ種類がありますが、脳血管系の認知症の人は残っている歯の数は6本でした。

 

残っている歯の数とアルツハイマー型認知症の関係。認知症の人はそうでない人と比べて歯の数が少ない。

 

もちろん、この当時はまだ「歯周病がアルツハイマー型認知症と関連があるのでは?」と言う段階です。ですが、それでも新しい可能性を見出した大きな発見となりました。

 

 

 

 

 

②アルツハイマー型認知症と歯周病の関係

2019年11月、九州大学らの研究で「歯周病とアルチハイマー型認知症との関係性」について発表がありました。歯周病の原因菌やその毒素が血管を通じて体内に侵入し、原因タンパク質Aβが体内でつくられ、脳に蓄積することが解明しました。

 

 

アルツハイマー病のマウスの半数に歯周病を発症させたところ、歯周病のないマウスよりも認知機能が悪化しました。実験後に脳に沈着したアルツハイマー 病の原因とされるタンパク質を調べると、歯周病マウスは重量で約1.5倍、面積では約2.5倍になっていました。

 

歯周病と認知症の関係について。ネズミの実験では、歯周病に罹患しているマウスの方がアルツハイマーの原因タンパク質Aβの蓄積が多い

 

歯周病がアルツハイマー病の悪化因子であることを示唆した論文報告でした。

 

 

 

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31594220/

歯周病菌がアルツハイマーの原因タンパク質Aβに及ぼす影響についての論文

 

 

 

 

 

③歯周病とアルツハイマー型認知症の関係の追及

最近になり、アルツハイマー型認知症の原因物質がどのように蓄積されていくかが判明しました。まだ論文として検索できなかったので詳細は記載できませんが、一般ニュースでは原因タンパク質Aβを脳内に運ぶ受容体の数が決めてになったようです。

 

https://www.asahi.com/articles/ASNB544G9NB5TIPE003.html

 

 

もちろん、歯周病だと認知症になる確率がどれくらいか、と言うのは不明ですが、歯周病ケアを行うことが少なからず認知症のリスクを減らすことに繋がることは間違い無いでしょう。

 

 

 

 

④歯周病とメタボリックドミノ

今回はアルツハイマー型認知症についてでしたが、他にも脳血管障害や糖尿病など、歯周病が関与する全身疾患が多数存在します。健康な人は口の中も健康な人が多く、全身疾患を持つ人ほど口の状態は良く無いことが多い傾向にあります。口の健康が全身の健康に繋がると言う「メタボリックドミノ」と言う概念があります。健康が崩れていく最初のきっかけは口の中から始まるというものです。

 

虫歯や歯周病を放置することは、口の中が不衛生になり、それが全身へと波及します。それは歯周病菌の毒素によるものであれば、単純に虫歯や歯周病の原因に食生活があることで、その食生活により体が糖尿病や高血圧などに繋がります。メタボリックシンドロームという状態になります。そのまま改善なく進めていくと、そこから心不全や腎疾患など、命に関わる問題へと発展していきます。もちろん、歯がなくなっていくと食べるものも制限されるため、栄養が偏る、不足するということも原因の1つなります。

 

健康な高齢者の方は、お口の中も健康な人が多いです。お口の健康が損なわれている人は様々な理由で全身疾患を何かしら持っていることが多いとも言えます。お口の健康は、間接的に大きな問題へと波及していきます。

 

メタボリックドミノ。虫歯や歯周病がメタボリックシンドロームに繋がり、高血圧や糖尿病になり、最終的に心不全など命に関わるものに繋がっていく。

 

歯の喪失、糖尿病、脳血管障害など、全て歯周病が関与しており、それが認知症につながります

 

 

 

 

⑤歯周病と脳梗塞、心臓疾患

歯周病の菌は、お口の中にいますが、歯周病が悪化していくと歯茎の血流に乗り、そのまま全身に流れていきます。その後、血液が凝固していき、血の流れを障害します。これが脳の場合だと脳梗塞になり、心臓の場合では心筋梗塞のリスクになります。歯周病が悪化している人は、そうで無い人に比べ2.8倍リスクが高いと言われています。もちろん、歯周病のみがリスクで無く、食生活や他の基礎疾患もリスクではありますが、単純な比較ではこのような統計が出てくるというわけです。

 

 

歯周病菌が血流に流れ込みます

 

歯周病菌が血栓を作り、脳梗塞のリスクとなります

 

 

 

 

 

⑥歯周病とお口の環境変化、悪化による認知症リスク

歯周病が進行すると歯を失うことになります。先ほども述べたメタボリックドミノの内容の繰り返しになりますが、歯を失うということは食事が十分に取れないということになります。その分だけ栄養が不足していき、病気になりがちにもなります。つまり、これが負の連鎖への入り口となります。歯を失うことによって、口の健康が損なわれいきます。その時、健康な人と比べると、状態が悪い人は認知症になるリスクが1.9倍高いという調査結果もあり、口の健康と認知症ははっきりと相互関係があります。

 

元気なご高齢者の方は、みなさん歯がしっかりしており、元気に食事をしている方が多いと思います。口は健康への入り口のため、十分なケアが必要になります。

 

 

 

 

 

⑦歯周病;歯を失わないために

日本人が歯を失う原因の1位は歯周病です。そのため、いかに日頃から歯周病ケアを受けているかどうかがポイントになります。歯周病は無症状のため、自分でどれくらい進行しているかはわかりません。逆に、症状が出る時はかなり進行しているため、口の健康が大きく損なわれている時と言っても過言ではありません。

 

 

 

⑧最後に

今回は歯周病が及ぼす全身への影響、アルツハイマー型認知症と歯周病との関係についてのお話でした。歯周病によって認知症が決定されるわけではありませんが、原因の1つということに間違いありません。認知症以外の疾患、高血圧や糖尿病もお口の健康が損なわれると影響を受けることもあります。今一度、お口の健康を考え、維持していくことが大切であると実感して頂ければと思います。

 

歯周病も生活習慣です。歯周病があるということは同じ生活習慣病である高血圧や糖尿病になるリスクがある生活習慣をしているということです。歯周病は自覚症状がないのが特徴です。40代になると健康な人でも始まっていくと言われていますので、年齢が上がった時は、問題がなくても1度、歯科医院に検診にいくことをお勧めします。

 

 

 

 

津市久居の歯医者 歯科医院「ナカニシ歯科医院」

津市久居中町276-7 中西ビル2階

TEL:059-256-4515

 
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