すきっ歯(正中離開)治療〜ダイレクトボンディング審美治療〜
2024年3月13日
すきっ歯(正中離開)を改善する方法に、ダイレクトボンディング審美治療があります。これは隙間を「詰め物」で埋めることで、見た目を改善する治療方法です。ダイレクトボンディングという手法を用いることで、見た目の自然さをはじめ、物持ちも良い治療となります。今回はすきっ歯(正中離開)の治療、ダイレクトボンディング審美治療をご紹介します。
すきっ歯の治療としては、一般的に3つ治療方法があります。1つは隙間を詰め物で埋めるというダイレクトボンディング治療です。2つ目はラミネートベニアという、歯の表面にネイルのような薄いセラミックをつける方法です。最後の1つは矯正治療です。矯正治療の場合はその人の歯並びや噛み合わせによって部分矯正、あるいは全体の矯正が必要になります。すきっ歯の隙間を埋める、詰めるダイレクトボンディングはそのままですが、埋めるだけなので治療が1回でおわります。ラミネートベニアという方法は、歯の表面を少し削る必要がありますので、そこに抵抗があるかどうかというのが選択肢の分かれ目かもしれません。
矯正治療で改善する場合の利点欠点は以下となります。
【利点】自分の歯で見た目を改善できる
【欠点】期間が長くなる。費用が大きくかかる
すきっ歯の見た目のほか、全体の歯並びも気にされる場合は矯正治療が望ましいでしょう。もちろん費用が大きくかかりますので、理想と現実的な問題があります。
すきっ歯をダイレクトボンディング審美治療で改善する場合の利点欠点は以下となります。
【利点】治療が1回で済む。矯正とは違い、比較的費用が抑えられる。
【欠点】自然な見た目といえども、人工物の詰め物なので、必ず着色が生じる。
ダイレクトボンディングとは、要は「綺麗で長持ちする詰め物をする」ということなので、しっかり歯ブラシをしないと着色は最低限生じます。人によっては、処置部位によっては、他と同様に歯石もつきますので、定期的なクリーニングが必要になります。
欠点でもありますが、それは矯正治療をしても歯石や着色がつくので、そういう意味では欠点はカバーできるともいえます。ただし怠ると劣化につながりますので、クリーニングという名の手入れが必要不可欠です。家電や洋服、車など、すべてのモノに言えますが、手入れをすることが長持ち、物持ちにつながります。
ラミネートベニアという審美治療で改善する場合の利点欠点は以下となります。
【利点】歯の表面が全体的にセラミックになり、歯の変色がない
【欠点】隙間以外の歯の表面を全体的に少し(0.1-0.5㎜)削る必要がある
この方法は一昔前からある治療方法でしたが、近年は治療の進歩がありダイレクトボンディングという手法が出てきたため、このラミネートベニアという方法は出番が少なくなってきました。ただし、歯も全体的に綺麗になるため、歯の状態によってはこちらを選択することもよくあります。ただし費用は当院の場合1つ13.2万円するので、すきっ歯改善の場合は2つ分となり、費用が上がります。
治療自体は1回で終了します。ただし、初診として受診してすぐその日にできるわけではありません。状態を確認し、矯正がベストか、詰めるだけの方が得策なのか、歯周病の状態、希望などの相談の上、総合的な判断が必要となります。つまり、現実的には【①初診⇨②ダイレクトボンディング治療】という流れになります。
治療時間は当歯医者ナカニシ歯科医院では90分いただいております。説明などを含め、余裕を持った時間です。それでも実際は60分くらい治療時間があるのではないでしょうか。ただし、医院によっては時間は違うかもしれませんので、あくまで当歯医者の場合です。
費用は【6.6万円(当ブログ作成時点です。費用の変更がある可能性があります)】いただいております。この費用についても当歯医者ナカニシ歯科医院のものなのであり、自由診療になりますので歯科医院によって価格に差があるかと思います。
「すきっ歯」ダイレクトボンディング治療は唯一適応条件とはならないケースがあります。それは歯周病や神経が抜いてある歯の場合の2つです。歯周病で歯肉が弱くなり、歯が前に出てきた、隙間が拡がってきたという場合は、仮に埋めたとしてもまた拡がってくる可能性があります。根本的には歯周病治療が大切となります。また神経が抜いてある歯の場合は詰め物というよりも歯の強度などから被せ物にすることが多いので、詰め物というよりも被せ物で隙間を埋めるという対応になることがあります。
いずれにせよ、その人その人によって状態や噛み合わせなどが違うため、一概に「これはできない」というわけではありませんが、自分の場合はどうなのか、気になる場合は一度、歯科医院を受診して相談してみることを提案します。
それでは実際の治療風景をご紹介します。前歯が「すきっ歯」になっています。これを改善する場合は基本的には①矯正治療②ダイレクトボンディングの2択になります。双方の利点・欠点・期間・費用などを踏まえ、相談の上、処置を決定します。今回は「すきっ歯」をダイレクトボンディング審美治療で処置することになりました。
なお、隙間があるか、埋まっているかで、第一印象は大きく変わります。
実際に埋めることでどのような印象になるのかのイメージが大切です。これは術者側(歯医者側)も処置するにあたってどのように行うかのイメージもありますが、患者側としてもどのような形になるのかを具現化することで、治療後の雰囲気をイメージすることができます。
初日の説明などを終えたのち、日を改めて「すきっ歯」ダイレクトボンディングを行います。処置にあたり必要に応じて麻酔注射を行います。その後、処置の歯の周りをゴムシート(ラバーダムと言います)で覆います。このゴムシートが意外と大切です。
ゴムシートをかけることで、粘膜に強力な接着剤などが付着しない目的が1つあります。もう1つは接着力をより強固にすることです。なぜ強固になるかと申しますと、例えば、セロテープや瞬間接着剤も乾燥している面には機能しますが、湿っていると機能しません。歯に対する接着力も同様で、口の唾液などの水分や、呼気に含まれる湿度が接着力を低減させます。歯を唾液や呼気からゴムシートで隔離することで歯の表面が極度の乾燥状態になり、接着力が強固に向上するのです。
歯にゴムシート(ラバーダム)をしたのち、歯の表面にエッチング剤というものを塗布します。これは歯の表面を脱灰させ(いい意味で粗くします)、接着剤の力が強力になるというステップです。
歯の10秒ほど時間を置き、写真でいう青い薬液を洗い流します。すると、青い薬液がついていた部分が白くなっているのがわかります。この白い部分が脱灰部分、簡単にいうと接着力が作用しやすくなった部分になります。
この後、写真にはありませんが、プライマー剤・ボンディング剤という接着剤を塗布します。そして実際に詰め物を歯に施していきます。
詰め物をする際に、通常の保険治療では使われないもの「ガイド」を用います。(バックウォールなど、いろんな言い方がありますが、ここではわかりやすくガイドと呼びます)
これは、あらかじめどこまで詰めるのかを決めておき、実際に詰める時にブレが生じないようにするためのものです。これを用いることで主観で詰め物をおこなうのではなく、客観的にも詰め物をしていくことができます。治療をする側にしかわからないですが、これがあるのかないのかは、出来栄えを含め、存在意義はかなり大きいです。
これを用いて、まずは片方だけを詰めていきます。
片方を詰めれば、もう片方を詰めていきます。この段階で大まかな形態は完成しています。あとは歯と詰め物の繋ぎ目や、厳密な段差や膨らみなどの調整を行います。これでダイレクトボンディング治療は終了です。
すきっ歯の改善としてのダイレクトボンディング治療のご紹介でした。写真では簡単に見えますが、実際の治療時間は60-90分いただいております。
【ナカニシ歯科医院での「すきっ歯」改善ダイレクトボンディング治療】
治療期間:最低2回(①初診カウセリング・歯型とり⇨②ダイレクトボンディング治療)
治療時間:60-90分
治療費用:6.6万円 (価格は予告なく変更する可能性があります)
注意事項:詰め物なので、過度の衝撃でかけることがあります。
定期的に歯科医院でクリーニングすることで変色劣化の防止につながります。
すきっ歯の改善はこのダイレクトボンディング審美治療、ラミネートベニア審美治療、矯正治療のどれかが一般的な選択肢となります。状態によってどれがいいかは一概に言えませんので、すきっ歯が気になり、治したい場合は一度歯医者さんに相談することをお勧めします。ただしどの治療方法も自由診療であり、歯科医院によっては費用も違いますので、その点を考慮した上で、ご相談ください。