親知らずの移植の実際 成功率やリスク・費用など
2022年8月17日
津市久居の歯医者「ナカニシ歯科医院」です。親知らずの移植という処置をご存じでしょうか?治療の選択肢として知らない人が多いかと思われます。移植についてのお話です。
親知らずを抜歯し、それを歯がないところに移す治療をいいます。親知らずは埋まっている人もいれば生えてくる人もいます。変な方向に生えてくる人もおり、そのあり方は人それぞれです。その親知らずの状態が良ければ、スペアの歯として使用することができます。
一般的に奥歯と言われる「大臼歯」ですが、ここはよく噛むところであるため、虫歯やトラブルが多い歯でもあります。そのため、虫歯や歯周病で抜歯になる確率が一番高い部位となります。
もし抜歯になると入れ歯、ブリッジ、インプラントという手法がありますが、親知らずが正常であればスペアの歯として治療できる可能性があります。
成功率は10年後の生存率で90%近くあります。もちろん失敗例もあるため絶対ではありません。移植をする部位の歯茎など、歯周組織の状態が良好であればあるほど成功率が高いです。
実際によくある話ですが、状態が悪く抜歯と宣告された歯を、症状が乏しいから抜かずにそのまま使えるところまで使っていたという患者様がいらっしゃいます。もちろん1つの考え方としてありますが、実際に抜歯となった時、抜いた後の歯茎の状態が非常に悪くなります。具体的には歯茎や骨が周りと比べ痩せ細ってしまい、その後の歯を入れる治療(入れ歯・ブリッジ・インプラント)にとって不利な状態となります。状態が悪い歯を使えるまで使っていく場合は、その考え方のデメリットを十分に理解し、一方で悪化状態を定期的に状態を確認、検診を受けることが大切です。
まずは歯がないところに、移植する歯が入るようにスペースを確保します。抜歯と同時に移植することもあれば、外科で治癒した骨を歯が入る分だけ削ることもあります。
移植できる準備ができたら、親知らずを抜歯し、移植します。移植後は固定が大切なので、縫合で固定するか、前後の歯をワイヤーなどを連結させて固定します。
移植した歯が周囲の歯茎と生着するまで期間を置きます。状態によって期間が変わりますが、早くても数ヶ月待つことが多いです。期間を置いてから、周囲の歯に合うような被せ物を作ります。移植の時は固定が絶対なので、噛み合う歯に揺さぶられないように噛む面を削り、当たらなくします。そのため、被せ物を作り、あらためて噛み合うようにする必要があります。
親知らずの移植のリスクとして、外科処置であるということ、絶対に成功するわけではないということです。外科処置としては術後の痛みや腫脹が生じることがあります。痛みが出ないこともありますが、出たとしても薬を飲めば落ち着く範囲のことが多いです。ただし絶対ではないので場合によっては腫れと痛みが続くかもしれません。
費用は親知らずに限っては保険適応です。親知らず以外の歯を移植する場合は保険適応外となります。
親知らずの移植という選択肢は親知らずがないとできず、移植しても一生持つかどうかはわかりません。もし移植しなければ次の選択肢として入れ歯や、前後の歯を削るブリッジというものになり、他の関係のない歯の寿命を奪うことになります。周りの歯の延命のために移植があるという考え方が良いではないでしょうか。
津市久居の歯医者「ナカニシ歯科医院」