上顎の痛くないけどかたいできもの口蓋隆起とは?
2025年8月14日
上顎のできもので、かたいけど痛くないものありませんか?これは口蓋隆起と呼ばれるもので、簡単に言えば、上顎の骨が膨張しているものです。放置しても口蓋隆起そのものには問題ありませんが、食事で擦れていたい、火傷するほか、会話での発音障害になることもあり、弊害が出ることがあります。そうなった場合は、治療として切除することが可能です。今回は口蓋隆起についてのお話です。
上顎のかたいできもの口蓋隆起とは、骨の膨張によるものです。そのため痛みを発することはありませんが、カツなど衣がついたもので食事の時に傷ができることがあります。また、あまりに大きいと、発音障害を伴うことがあります。言葉を発する時は舌を上顎につけて発音するため、この口蓋隆起が大きいと邪魔になるというのが理由です。そのほか、入れ歯の人にとっては邪魔になるため、痛みが出ることがあります。
口蓋隆起の原因は、明確な原因はわかっておりません。様々な要因が関係していると言われていますが、中でも歯ぎしり、食いしばりが強い場合、骨が膨張して口蓋隆起として発生することがあります。現に、口蓋隆起がある人にはこの歯ぎしり、食いしばりの傾向が顕著に現れています。
口蓋隆起を放置しても、病的なものではないので問題ありません。ですが、先述した通り、発音時の邪魔になるため発音障害が出ることや、食事の時に粘膜を傷つけて口内炎になりやすいこと、または、入れ歯の人にとってはこの口蓋隆起が邪魔になるため、入れ歯に支障が出ることがあります。
この口蓋隆起は骨の膨張でですが、それを覆っている歯肉が大変薄いため、足のスネのように当たると痛いのです。
結論、口蓋隆起自体には問題ないですが、それによって二次的な問題が発生することがあります。
口蓋隆起を取ることは可能です。基本的に麻酔をし、切除となります。これは保険適応であり、処置時間も30-60分程度です。処置時間は切除部位の範囲、大きさによります。
今回は実際についてのご紹介です。写真のように、上顎にかたいできものがあります。これが口蓋隆起と呼ばれるものです。
局所麻酔をして、粘膜を切開します。切開は形状にもよりますが、Y字を入れることが多いです。
切開し、口蓋隆起つまり骨が出ているところを剥き出しにします。その後、切除して行きます。
切除後、歯肉を縫合します。写真のように、もともと膨らんでいた部分の歯肉のため、縫合すると梅干しのようにシワシワになります。ですが、縫合したのちにガーゼで圧迫し、密着させることで何ら問題はありません。
処置後、数ヶ月後です。綺麗に治り、ここが大きく膨らんでいたとは思えないような状態です。
もう1つご紹介です。今回は入れ歯の方の口蓋隆起です。写真のように口蓋隆起を避けて入れ歯が作成されています。通常この場合は入れ歯の密着度が下がるため、入れ歯が落ちやすくなる傾向にあります。(もちろん必ずしも落ちやすいとは限りません。この形態の入れ歯はよくあります)
麻酔をして、切除して行きます。今回はまっすぐ1本線で切開を入れる予定でしたが、口蓋隆起の広報部が膨らみの大きさがあったため、その場で逆Y字の切開としました。切開線は1本の方が理論的には治りが早いですが、治療後の予後にとっては大きな差にはならず、変わりないため、確実に処置できる切開の選択が望ましいです。
縫合し、治癒を待ちます。
治療後1ヶ月の状態です。上顎のかたいできものがなくなりました。
上顎のかたいできもの、でも痛くないもの、それは口蓋隆起と呼ばれる骨の膨張です。年単位で少しずつ膨らんできますので、気づいた時にはかなりの大きさになっていることが多いです。あるいは、全く気づかずに、歯科医院に検診などで行ったときに偶発的に知ることが多いです。
この口蓋隆起そのものには問題ないですが、それに伴う偶発的な症状(食事で擦れて、火傷をして痛い、などが多いです)があるため、切除を検討することがあります。これは保険適応で、大きさによりますが30−60分程度です。処置後も腫れることはほぼありません。
もし上顎のかたいできもので、食事や入れ歯で弊害が出ている方は、一度、歯科医院の受診をお勧めします。ただし、この口蓋隆起の切除という外科処置を保険適応とは言えども技術的にできる歯科医院、できない歯科医院もあるかと思いますので、そのあたりも確認して受診されるのが良いかと思います。