根の治療で膿が溜まっている時の治療法・歯根端切除
2025年4月17日
根の治療で膿が溜まっている時の治療法として、通常の根の治療を行なっても治らないことがあります。その場合、治るまで長期間の経過を見ていくという考え方もできますが、外科的な方法で悪くなっている部位を直接取り除く方法、歯根端切除術があります。今回は根の治療だけでは治癒が見込めなかったため、外科的な歯根端切除術を行なった1例のご紹介です。
通常は根の治療といい、歯の根っこの中の神経の管を通じ、内部に侵入した細菌を消毒、無菌に近づけることで歯茎の治癒を促します。余談ですが、 通常は水酸化カルシウム製剤と呼ばれるものを用います。
この根の治療を通じ、治癒していくかを見届けます。見届ける期間や頻度は、その歯の状態や治り程度にもよりますが、1−2週間に1度、あるいは月に1度のこともあります。
どの程度見届けていくかですが、当院の場合は数ヶ月から半年程度としています。根の治療の学会において、半年で治癒したという論文もあるため、それを目安としています。逆に言えば、半年経過しても治らない場合は外科的処置の検討とします。
ただし、実際に見届ける期間は患者様との相談によります。数ヶ月で外科的に処置することもあれば、半年経過後も、そのまま見届けていくこともあります。基本的には相談の上、治療を選択していただきます。
実際に根の治療だけでは治癒しなかった場合、外科的に歯肉をめくり、内側を確認していきます。写真では、腫れていた箇所に相当する部位が黒く抜けています。これは炎症により骨が溶けてしまい、その空洞部位に膿が溜まっているという状態です。綺麗にしたのち、縫合していきます。
また、掻き出した部分は血液が溜まり、年単位で骨が再生され、周りの骨と変わらない状態になります。
縫合したら、約1週間後に抜糸します。抜糸後は被せ物をしていきます。
根の治療だけでは治癒しないものも、外科的な方法、紫根端切除術をおこなれば高確率で治癒することが論文でも証明され、エビデンスがあります。もちろん、これは治療方法の選択肢なので、実際に行うかは患者様との相談の上で成り立ちます。根の治療をある程度継続しても治癒しない場合は、検討されるのが良いかと思います。
これは保険治療ですが、この外科的治療法を提案してくれる歯医者が少ないのも実情です。提案を受けることなく、抜歯しかないと言われることも多く、そういうものと捉えている患者様も多いのではないでしょうか。
もちろん、状態によっては歯根端切除術で対応できないこともあり、抜歯となる場合もあります。膿が溜まっているからこの治療で全てが治るとは限りません。
もし根の治療で悩んでいる場合は、一度こういう治療法があることを知っていただければ幸いです。セカンドオピニオンも当たり前の時代のため、抜歯と言われて抜歯される前に、このような外科的な治療も選択肢として提案してくれる歯医者さんに巡り合っていただければとも思います。