虫歯の治療後で詰め物をした歯が痛い理由とは?
2022年11月20日
「痛い」あるいは「痛くなかった」虫歯の治療後に、詰め物をした後日、歯が痛いことありませんか?これはよくある現象の1つです。ではどうして痛くなるのかお話して行きます。
虫歯治療とは、虫歯菌によって感染してしまった歯を削り取るというものです。削る時は、ダイヤモンドでコーティングされたものを、分速20,000-40,000回転という速さで削ります。もちろん、削るという振動が【物理的な刺激】として伝わります。さらに摩擦熱が生じるため、水を出しながら冷却しています。この温度変化そのものの【物理的な刺激】が発生します。
治療中は麻酔をしているので痛くはないですが、痛くなくてもこの刺激がなくなるわけではありませんので、神経に刺激が伝わり、一時的な炎症が神経に発生し、治療後の痛みとなります。
極端に冷たいものや温かいものを避けて、その歯にとって安静な状態を維持しましょう。一時的な神経の炎症なので、日にちが経つにつれて落ち着いてきます。ただし、数日のこともあれば1週間単位、結果として1ヶ月くらいかかることもあります。痛みの程度が1週間前と比べて改善傾向にあれば、その改善の割合だけ日数をおけば治るだろうという単純な考えで経過をみて行きましょう。
ただし、ある一定のところまで良くなっても、その後は治らない場合は悩ましいところです。その場合は知覚過敏用の歯磨き粉などを用いて神経を刺激しないような工夫が望ましいでしょう。
神経に近接あるいは接している虫歯治療は、虫歯をとると共に、神経そのものが多少なり傷ついてしまうことがあります。虫歯と神経が隣り合わせの場合、神経だけを触らず虫歯だけを取ることが難しいため、現実的に神経を多少なり傷つくことがあります。その結果、一時的に炎症が神経に生じるため、治療後の痛みが発生します。
これも冷たいものや温かいものを避けて、刺激を与えないようにすることが望ましいです。一時的な神経の炎症であれば、期間が経てば治って行きます。ただし、問題なのは「温かいものがしみる」「ズキズキする」「噛むと痛い」です。特に「噛むと痛い」場合というのは、神経が全体的に炎症している状態であり、ここまでくると回復しないことが多いです。冷たいものが染みるだけであれば一時的な炎症として回復する見込みがあります。一方で、前述した「噛むと痛い」などの症状がある場合は、期間をおいても解決しないことが多く、神経をとる治療(抜髄、根管治療)に移行することになります。
詰め物をするときは、歯にくっつけるために接着剤のようなものをつけます。そこにはさまざまな成分が入っており、歯の表面と詰め物をくっつける役割を果たしています。治療の時に風を吹きかけたり、光を当てたりするのはそれらの成分の効力を発揮させるためとなります。ですが、その成分が十分に効力を発揮しなかった場合など、成分そのものが化学的な刺激として神経に影響を与えることがあります。そうなると化学的な刺激が慢性的に続くため、神経に炎症が生じてしまい、治療後の痛みとして続くことになります。
これも一時的な刺激として経過を見ていくか、あるいは一度詰め物を外し、再度詰め直すということを行います。最終的には、日数が経つにつれて良くなっていくかどうかです。ある一定のところで改善しない場合は、その続いている症状がどの程度なのかによって治療の選択肢が変わります。現状で妥協するのか、詰め直しするのか、知覚過敏の歯磨き粉などで経過を見るのか、一概には断定できませんが、治療を受けた歯医者さんで相談することをおすすめします。
レントゲンで神経に近接している虫歯と断定できますが、現実的なところは治療をしてみないとわからないことがあります。実際に神経にギリギリのこともあれば、神経の炎症を実際に確認できることもあります。ですが、よくも悪くも判断ができない場合もあります。神経をとると様々な理由で歯が弱くなり、治療回数も一気に増えます。そのため、歯医者さんによっては、一度神経を保護する薬をおき、とりあえず埋めて経過を見ることがあります。結果として、痛みが取れなかった場合は後日神経をとる治療に移行することとなります。
もちろん治療後すぐは痛みが出ることがありますので数日は経過をみましょう。あまりに痛みが強い場合は鎮痛薬を服用しましょう。ただし、我慢と言っても個人差があり限界があります。鎮痛薬でもどうしようもない場合は、一度かかりつけの歯医者に相談しましょう。治療している歯医者さんが一番神経と虫歯の状態を理解しています。神経をとるべきなのか、経過をみても良いのか判断してくれるでしょう。
前述の解決策・治療策の通り、歯医者に行って現状把握、相談が一番ですが、現実的にすぐ歯医者に行けることも少ないです。自分自身でできる対応策をご紹介します。
簡易的で間違いない方法です。歯の痛み(歯痛)はロキソニンが成分的に一番良く効きます。他には市販薬としてロキソニンS、イブ、タイレノール、バファリンなどがあります。飲み薬以外にも塗り薬がありますが、まずは第一選択は飲み薬です。
塗り薬の場合は歯周病など歯茎に炎症があるものには効果がありますが、補助的な意味合いで捉えていただくと良いでしょう。
神経が炎症を起こしているので、刺激を与えないことが大切です。温度的な刺激、食事など物理的な刺激をできる限り避けましょう。
血液の循環が良くなると炎症としての強さが増して行きます。できる限り安静にすることが大切です。具体的な例として「飲酒」「過度な運動」「長時間の入浴」は避けましょう。
痛みが強い場合は一度冷やしてみましょう。直接冷やすのではなく、患部を顔の外側から冷やします。理論としては、血管が収縮するので血液循環が遅くなり、結果として炎症の程度が和らぐということです。ただし、冷やすという温度的な刺激でかえって痛くなることもありますので、臨機応変に行いましょう。
虫歯治療によって痛い原因と対応策についてご紹介しました。
虫歯治療によって2−3日ズキズキと痛みが出ることは決して珍しいことではありません。もちろん、痛みが出てほしくはありませんが、術後症状のリスクとしてゼロではないということです。
痛みが数日なら良いですが、それ以降も一向に良くならない場合は、かかりつけの歯医者に相談しましょう。軽減傾向に転じた場合は経過を見るのも良いかと思います。ただ仕事の都合などですぐに歯医者に行けないことがよくあると思いますので、その場合はドラッグストアなどでロキソニンSなどの鎮痛薬を服用しましょう。
津市久居の歯医者「ナカニシ歯科医院」