部分矯正〜奥歯の噛み合わせのずれ・鋏状咬合の治し方〜
2022年10月10日
津市久居の歯医者「ナカニシ歯科医院」です。奥歯が傾いていることで、噛み合わせがずれている鋏状咬合を部分矯正で治す方法をご紹介します。
鋏状咬合はシザーズバイトとも言います。奥歯は凸凹しており、通常は上下の歯が噛み合うとこの凸凹が上手く組み合わさります。ですが、歯が上手く噛み合わさずにずれている状態を鋏状咬合と言います。文章での説明ではイメージが難しいので、図を参照にしていただけるとわかりやすいかと思います。
この状態は自覚症状や機能面として問題を感じることはさほどありません。問題となるのは、歯が倒れている分だけ汚れが停滞し、磨きにくいことです。これによって虫歯や歯周病になる確率が上がります。また一方で、噛み合わせから顎の関節に負担が出るというデータも存在します。
もちろん、そのままでも問題ない方もいらっしゃいますが、何かしら不具合が生じている方もいらっしゃいます。
鋏状咬合は部分矯正で治療することができます。状態にもよりますが、治療期間は半年前後、治療費用は医院によりますが10-25万ほどではないでしょうか。使用する装置などで費用も変動するかと思われます。
⑴ 鋏状咬合の治療として、まずはリンガルアーチと呼ばれる装置を作ります。これは左右の奥歯に金属のバンドを巻いて、そのバンドを金属線で繋げたものになります。
手順として、まずは歯と歯の間にゴムを装着します。このゴムの収縮力によって隙間ができ、後日装置が入るための隙間となります。
ゴムを装着して約1週間待ちます。装置作製のための金属バンドのサイズを合わせます。その後は装置作成に入ります。前述しましたが、この金属バンドとワイヤーを繋げたものをリンガルアーチと言います。言葉の通り、リンガル(=舌側)アーチ(=ワイヤーのアーチ)です。
⑵部分矯正装置(リンガルアーチ)を装着します。傾いている歯にフックをかけ、ゴムを装着します。
⑶ゴムを装着して傾きを改善して行きます。通院頻度にもよりますが、ゴムをかける期間は2−4ヶ月でしょうか。状態によって変動します。
⑷噛み合わせが改善されたことを確認できれば終了です。
鋏状咬合を改善する部分矯正も注意点があります。
⑴ 装置が外れることがある
⑵ フックが頬に食い込み、痛みが出ることがあり、随時調整が必要であること
⑶ 鋏状咬合の傾き具合などによっては、一時的に噛み合わせをあげる場合があること
⑷ 装置の違和感がある
上記は当たり前のようなことですが、実際に装置が外れて口内炎として痛みが出たり、発音がしにくいとなると厄介なものです。ある程度は覚悟をしていただく必要があります。
いかがでしたか。鋏状咬合は奥歯が生える段階で傾いて出てくるため、ご本人は自覚症状はありませんし、食事で噛みにくいなど感じることはないかと思います。歯医者さんで検診などで発覚することが多いです。あるいは、歯が傾いていることで汚れが溜まり、虫歯になってから発覚するケースです。
治療する必要性はあるのか?と問われると、答えとしては「その人による」というところです。理論や学術上はトラブルが生じるリスクがあるという結果ですが、必ず生じるわけではありません。人によって虫歯や歯周病リスクも違います。全ては総合的に考えることが大切です。
※写真の症例について※
期間:約半年
装置作製など検査・準備の期間:約1ヶ月
ゴムをかける期間:約3ヶ月
咬合状態確認・装置除去・終了:約2ヶ月
費用:11万円(税込)
利点・欠点:当ブログを参照してください。