知覚過敏と虫歯の見分け方 〜歯磨き粉や治し方・虫歯との違い〜
2021年5月23日
津市久居の歯医者 歯科医院の「ナカニシ歯科医院」です。
知覚過敏と虫歯の見分け方ってご存知ですか?歯がしみる、痛いことありませんか?その原因と対処方法、治療や歯磨き粉についてのお話です。
知覚過敏とは、冷たいものがしみる、歯ブラシで触れるとしみて痛い、アイスがしみて食べられないなど、その時の一瞬に生じる一過性の痛みです。虫歯や歯の神経の炎症(歯髄炎)など、歯自体に病変がない場合に起こる症状です。
歯肉が下がると、本来隠れている歯の根っこが露出し、そこがしみることになります。
歯の根っこには、目では見えない無数の知覚ホール(象牙細管)があります。これは温度変化など歯の神経に伝える役割を果たしています。本来であれば隠れているので温度変化などで痛みを生じることはないのですが、直接触れてしまうことで、強い刺激となり、それが痛みとなります。
ものが当たる、ぶつかるなどで歯が破折する、あるいは経年的に歯を消耗していくと歯に亀裂が入ることがあり、その結果、知覚過敏が生じることがあります。
歯は大まか3つの構造【エナメル質・象牙質・神経】からできています。歯がすり減ることで、一番外側のエナメル質がなくなり、象牙質が剥き出しになると、そこから歯がしみることがあります。しみる度合いは人それぞれで、少しでもしみる方がいれば、全くしみない方もいらっしゃいます。
ビールや酢、炭酸飲料水など、酸性のものを口に含むことで、歯が溶けてしまいます。通常は酸性で溶けたとしても唾液によりすぐ保護されるので問題ありませんが、長時間口に含んでいると歯が溶けてしまいます。これにより一番外側のエナメル質が溶けてしまい、その結果、しみることになります。
むし歯治療をした後、時に歯がしみることがあります。知覚過敏という表現が正しいかと言われると解釈次第では難しいところですが、しみることがあります。治療によって虫歯は除去されますが、その歯の神経にも最低限刺激が加わります。その結果、神経が一時的に炎症を起こし、冷たいものなどに敏感になり、結果、知覚過敏のような症状が起こります。
一時的なものですので時間経過とともに改善していきますが、虫歯や神経の状態次第では神経を取り除く治療も検討となります。この時は主治医と相談というケースになります。
ホワイトニング治療により、一時的に知覚過敏が起きることがあります。ホワイトニングの成分によるところが原因ですが、その詳細メカニズムはわかっておりません。もちろん一時的なので時間経過で改善します。知覚過敏が生じている時にはホワイトニングは中断することが望ましいでしょう。
知覚過敏は、軽度な場合は、期間経過で自然に消失することがあります。口の中では唾液や歯磨き粉の成分により、知覚ホール(象牙細管)という刺激を伝える微細の空洞が封鎖されてくるためと考えられています。
知覚過敏として感じるには、神経が脳に痛いと信号を送るから生じるともいえます。この神経の信号を送らせないようにすれば、知覚過敏を感じなくて済むのではないかという考え方です。実は、歯の神経の周囲をカリウムイオン(K+)というものが多く取り巻いていると神経の細胞が興奮しにくくなるという仕組みがあります。
これを利用した方法として、歯磨き粉に「硝酸カリウム」という成分を含ませることで、神経の刺激、伝達を抑制しようという歯磨き粉があります。継続的に使用することで改善していくことが多いです。
市販の歯磨き粉にもこれが含まれているものがありますので、内容成分をよく見て購入するといいでしょう。
知覚ホール(象牙細管)があるため、刺激が神経に伝わります。その知覚ホール(象牙細管)を塞ぐことで、刺激が神経に伝わらなくなり、知覚過敏がなくなるというものです。
歯科医院で知覚過敏の薬を塗布する方法や、歯磨き粉でもこの知覚ホール(象牙細管)を塞ぐ成分を含むものがあります。
知覚ホール(象牙細管)は歯の根っこにあります。前述した方法は根っこは露出したままですが、今回の方法は露出した根っこを、何かしらで覆い隠す方法です。一般的には根っこの表面に樹脂(プラスチック)を薄く被覆する方法があります。欠点はその部分が虫歯になる可能性などがあります。
保険適応外ですが、もともとは歯肉が下がったことで歯の根っこが見えているわけなので、歯肉を移植することで下がった歯茎を元に戻す方法があります。移植した歯茎も、移植された側の歯茎も最終的には自然治癒し元に戻るため、一番生体の理にかなっているかもしれません。
最後の手段となります。神経をとることで、痛みがなくなります。ですが神経を取るというデメリットが大きいので、知覚過敏が生活習慣に及ぼす影響で全てが決まります。
前述した方法ですが、やはり順番としては
①知覚過敏用の歯磨き粉を使用する
②歯科医院で知覚過敏の薬を塗布してもらう
③それでも効かない場合はプラスチックや歯肉移植などでしみるところを被覆する
となります。
市販のものでは、安いものから高いものまであります。安いものは知覚過敏対策の成分が1つしかないものが多く、値段が高いものは知覚過敏対策の成分が2つ含まれているものが多いです。
知覚過敏に対して効果を表す2つの成分ですが、1つは知覚ホールを封鎖する成分(乳酸アルミニウム)、もう一つは神経を鈍麻させることで痛みを和ます成分(硝酸カリウム)です。
知覚過敏用の歯磨き粉を購入される場合はこの2つの成分が配合されているものが今のところ一番良いと考えます。さらにそこに知覚過敏の原因の一つである歯肉退縮を誘発する歯周病対策の成分が配合されている歯磨き粉や、知覚過敏とは関係ありませんが虫歯予防としてのフッ素など、【知覚過敏+α】の歯磨き粉、ホワイトニング用や口臭予防の歯磨き粉などがあります。
これらは自身のお口に合わせて、目的に合わせて歯磨き粉を選択するといいでしょう。
簡単にいうと、知覚過敏は一時的ですが、虫歯は持続的です。知覚過敏は触れた瞬間だけですが、虫歯の場合は触れてから数秒、あるいは長時間痛みが響きます。
虫歯は穴が開いていなくても歯と歯の間からできる隠れ虫歯(隣接面カリエス)があります。この場合は見た目では判断ができないので、歯科医院で確認する必要があります。
残念ながら、確定的な予防方法はありません。年齢と共に歯肉が下がるので、個人差によりますが知覚過敏が生じるリスクは避けては通れません。強いていうと、歯周病が悪化しないように日頃から口腔ケアを受けることが挙げられます。
ですが、一方で知覚過敏の原因の歯肉退縮が【①歯ブラシの当てすぎ ②歯ぎしり】であれば悪化しないように予防することができます。
①歯ブラシの当てすぎ
これであれば歯ブラシのやり方を再考しましょう。強く当てすぎると歯茎が刺激により退縮します。そのため優しく当てることになります。方法としては力加減を下げることがありますが、どうしても動いてしまう、力が入る場合は【①柔らかめの歯ブラシを使う ②電動歯ブラシを使う】ことを検討しましょう。柔らかめであれば歯肉への刺激も比較的軽減されますし、電動ブラシであればゴシゴシするというより歯ブラシを当てるだけになるので、歯肉への負担も軽減されるでしょう。
歯ぎしりをすると歯肉が下がることがあります。この場合、歯ぎしりから歯や歯肉を守る必要があるため、マウスピースを装着します。マウスピースを装着することで、歯肉が下がるのを防ぎます。
知覚過敏の症状は歯磨き粉の選択で改善することもあれば、改善しないこともあります。さらに、知覚過敏か虫歯なのかも、最終判断は歯科医院でレントゲンの撮影を行わないとわかりません。自分自身で判断せずに、知覚過敏があれば、歯科医院でその原因をしっかり見つけることが大切です。
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